2015 Fiscal Year Research-status Report
EMTに注目した胃癌における循環・骨髄腫瘍細胞の臨床的意義の検討
Project/Area Number |
15K19841
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
柴崎 晋 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (60711877)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 循環腫瘍細胞 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、胃癌において微小転移に関与する血液中の循環腫瘍細胞、骨髄中の腫瘍細胞を同定すること、また同定された循環腫瘍細胞の検出意義を明らかにすることである。具体的には予後・再発、病理組織学的診断との相関性の評価を行うことにある。また、癌細胞が浸潤・転移する際におこるといわれる上皮間葉転換(EMT)のマーカーを検索することも目的としている。 これまでにR=0(癌の遺残なし)の手術を施行した胃癌患者は41例であり、そのうち16例(39%)の末梢血液中に血液中の循環腫瘍細胞(CTC)を認めた。早期癌17症例中5例(29%)に、また進行癌24症例中11例(46%)にCTCを認め、進行癌に多い傾向であるが、現時点で統計学的な有意差を認めるには至っていない(p=0.28)。また、他の病理組織学的因子におけるCTCの有無との相関性も、症例数がまだ多くないためか、現時点では認められていない。 骨髄中の腫瘍細胞(DTC)に関しては、術前CTCが陽性であった16例中12例(75%)の症例において、術後1週目の検査でCTC数が減少していたが、関連性はまだ判断できない。DTC自体の評価としては、採取した骨髄液中には腫瘍細胞の他に骨芽細胞がNカドヘリンを発現しており腫瘍細胞としての同定ができていないと考えられた。現在は、他のマーカーでDTCが同定できるか検討中である。 EMTのマーカーとして現時点で有望なNカドヘリンの発現が癌細胞の増殖・浸潤にどう関わるのかを検証するために、胃癌細胞株MKN45(低分化)とMKN74(中分化)のNカドヘリンknock out細胞をCRISPR/Cas9システムにて作製中であるが、まだ結果は出ていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DTCの同定ができていない。有用なマーカーを検討している段階であり、検出の方法が確立していないことにある。一番の理由として、採取した骨髄液中には腫瘍細胞の他に骨芽細胞がNカドヘリンを発現しているため、NカドヘリンがDTCのマーカーとしての機能を果たしていないため、腫瘍細胞としての同定ができていないため。現在、その他のマーカーを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
CTC検出のため、症例の蓄積を進めていく。DTCは腫瘍細胞を同定するマーカーを探していく予定である。
現在集積できた41例のうち、現在までに再発症例は認めていない。そのため、CTCの有無と再発・予後との相関はわかっていない。今後も症例を蓄積して病理組織学的因子、再発・予後と相関するか評価する。
EMTのマーカーを探索するため、ヌードマウスを使用したin-vivo実験を行う。CRISPR/Cas9システムにてNカドヘリンのknock out細胞を作製中であり、今後ヌードマウスを使用した皮下腫瘍モデルで腫瘍形成能を確認し、脾注の肝転移モデルにて癌の転移能を確認したいと計画している。
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Causes of Carryover |
臨床症例における症例集積、すなわち胃癌患者の登録が少なかった影響により、CTCの検出と臨床的意義の検討を行えるだけの結果が得られなかった。 また、DTCは検出するためのマーカーが不十分でありマーカー選択の見直しに迫られたため、検出の意義を検討する段階に進めなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CTC検出の意義を、症例の蓄積による解析を行うことにより明らかにしていく。 DTCはマーカー選択を見直して、検出方法を確立する。
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