2015 Fiscal Year Research-status Report
乳癌におけるGalectin-9/Tim-3の発現と臨床病理学的因子の検討
Project/Area Number |
15K19855
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前田 訓子 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教 (10738876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Tim-3 / 腫瘍免疫 / 乳癌 / Galectin-9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳癌腫瘍微小環境における免疫のnegative signal の強力な制御因子の一つであるTim-3とGalectin-9に着目している。これらは最近注目されているImmune checkpoint分子の一つである。このTim-3とGalectin-9の染色条件の確立をまず行った。次にGalectin-9あるいはTim-3の発現と乳癌患者の臨床学的背景との関わりを検索し、予後や転移との相関を検索した。結果として、乳癌腫瘍浸潤リンパ球および腫瘍近傍の細胞におけるTim-3高発現は予後と相関し、無再発生存期間はTim-3低発現のものと比し、有意に短かった。一方Galectin-9発現は低発現群の無再発生存期間が短かった。臨床病理学的因子(年齢、腫瘍径、リンパ節転移の有無、ホルモンレセプター、HER2、核グレード)で検討を行ったところ、Tim-3およびGalectin-9発現といずれの因子も関連を認めなかった。無再発生存期間にて多変量解析を行ったところ、Tim-3高発現が独立した予後因子となった。Tim-3高発現群でのGalectin-9発現は有意に低下し、負の相関関係を認めており、これらの相互作用は腫瘍の免疫逃避機構に関与している可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにTim-3,ならびにGalectin-9の免疫染色条件を確立し、乳癌患者におけるこれらの発現と病理学的因子、予後との関連は検討済みである。今後、乳癌細胞株におけるGalectin-9の発現を検索し、高発現株/低発現株におけるTim-3陽性Tリンパ球との分化・増殖・活性化の維持反応を測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、基盤的研究としてヒト乳癌細胞株を用いてGalectin-9の発現を検索し、高発現株あるいは低発現株におけるTリンパ球との分化・増殖・活性化の維持反応を測定することでTim-3/Galectin-9 interactionのメカニズムを検索し、免疫組織学的染色で得た結果の背景を検索することで今後の治療法の開発への礎とする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた乳癌細胞株の購入を研究室移転のため先送りしたため27年度の研究費に未使用額が生じたが、28年度に購入予定としており、研究を実施する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初通りの計画を進めていく予定である。
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