2015 Fiscal Year Research-status Report
Cetuximab加療後大腸癌のNGSを用いた腫瘍浸潤リンパ球のTCR解析
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15K19894
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井上 由佳 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教 (50749835)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TCR解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は大腸癌肝転移症例に対するcetuximab(以下Cmab)の作用機序につき病理組織学的検討を行い、EGFR依存性のシグナル伝達経路の阻害に加えADCCが誘導されている可能性があることを証明した。更にCmab使用症例で癌局所にCD3・CD8陽性細胞の著明な浸潤を認め、ADCC活性に引き続き抗原提示細胞を介したtumor antigen spreadingが誘発され、腫瘍関連抗原に対するCTLが誘導されている可能性が示唆された。近年TILsが大腸癌において予後因子であるとの報告がある。しかしながら、どのような機能のT細胞が関与しているのかは詳細に検討されていない。よって、次世代シーケンサーを用いcetuximab使用前後のPBMC内のTCRを解析することにより、Cmabの治療反応性の関連するT細胞のsub-cloneを同定するのが今回の目的である。術前化学療法を行う大腸癌患者で、本研究について十分な説明を受け、インフォームド・コンセントを取得した患者を対象とした。治療前後の末梢血単核球(PBMC)および切除標本の腫瘍部分より検体を採取した。それぞれから、RNAを抽出しSMART法を用いてTCRAおよびTCRBの完全長cDNAを合成し、Ion Torrent PGM シーケンサーでシークエンスを行った。得られたシーケンスデータをヒトゲノムにマッピングし、TCRレパートリーおよびその発現量を決定し、cetuximabを用いた術前化学療法前後の比較、およびcetuximabを用いない術前化学療法を行った症例との比較を行う予定である。これまでに、適応患者5名の検体を採取し、解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の対象となる患者(大腸癌同時性多発肝転移で、治療開始前に生検が可能な症例)が少ないため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き、対象となる患者を試験の目標数に到達できるよう集積し、検体を収集しデータ解析を行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
臨床試験の対象患者(大腸癌同時性多発肝転移で治療開始前の生検が可能な症例)が少なかったため、検体が抽出できず必要な消耗品の購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究費と併せて、消耗品の購入に充てる。臨床試験の適応患者が少なかったため、使用金額が少なかったが、平成28年度は同研究をさらなる症例数を増やして進める予定である。
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