2015 Fiscal Year Research-status Report
食道癌における酸化ストレス損傷のメカニズム解明と革新的治療法の開発
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15K19897
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 雄一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (40733564)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / MTH1 / 食道扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)細胞株を用いた検討 食道扁平上皮癌細胞株(TE1,TE2,TE3,TE5,TE8,TE10,TE12,TE13,TE15)および線維芽細胞株(BJ,MRC5,WI-38)を用いて、九州大学生体防御医学研究所中別府教授よりご提供頂いた抗MTH1ポリクローナル抗体(Kang D et al., J Biol Chem, 1995; 270: 14659-65)の精度を確認した。 定量的RT-PCRを用いて各細胞株のMTH1mRNA発現レベルを検討したところ、線維芽細胞株に比較して食道扁平上皮癌細胞株ではMTH1のmRNA発現レベルが亢進していた。上記抗体を用いたWestern blotting解析にてmRNA発現レベルと蛋白定量との相関を確認し(p=0.003)、上記抗体の精度が食道扁平上皮癌においても再現性を持って確認出来た。 2)臨床検体を用いた検討 食道扁平上皮癌の摘出標本84例に対して定量的RT-PCRにてMTH1のmRNA発現量を観察し、さらに上記の抗体を用いたMTH1蛋白の免疫組織化学染色を行った。 正常上皮細胞に比較して癌部ではMTH1のmRNA発現レベルの亢進を確認できた。臨床検体においてもmRNA発現量と蛋白の免疫組織化学染色スコアリングとの相関を認めた(p=0.0406)。MTH1高発現例を32例に観察し、同症例はより壁深達度が深く、静脈侵襲を高頻度に伴っていた。MTH1発現量と喫煙や飲酒との相関を認めず、またp53遺伝子変異との相関を認めなかった。MTH1高発現例は低発現例に比較して全生存率において有意に予後不良であった(p=0.0021)。多変量解析において、MTH1発現は独立した予後不良因子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に準じた進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
食道扁平上皮癌細胞株へのMTH1阻害剤を用いた酸化ストレス反応の観察を予定している。
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