2015 Fiscal Year Research-status Report
新たな脳動脈瘤実験モデルによる機序の解明および増大、破裂予測法の開発
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15K19978
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
金子 直樹 自治医科大学, 医学部, 助教 (10741712)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / 血管モデル / 3Dプリンタ / 数値流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
実物大の脳動脈瘤形状を持つシリコーン血管内腔において血管内皮細胞培養を最適化する条件の検討をした。内腔が平滑であることが特に重要であることがわかり、血管モデルのスムージング方法およびシリコーン血管作製を効果的かつ短時間で安易に行う方法を確立した。さらに、その手法で作製されたシリコーン血管形状を作製前の患者データと比較し精度が問題ないことを確認した。また、シリコーン表面の処理法を検討し、血管内皮細胞の接着を改善することが可能となった。血管内皮細胞が内側に接着したシリコーン血管を回路につなぎ血流負荷を与え、その後血管内皮細胞を免疫染色し共焦点顕微鏡でシリコーン血管内に血管内皮細胞が隙間なく単層培養されていることを観察した。また、数値流体力学 Computational Fluid Dynamics (CFD)で同形状の脳動脈瘤のwall shear stress等の計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコーン血管モデル作製は高価で時間がかかるものであったが、効率的にスムージングを行い安価かつ短時間に正確なモデルを作製することが可能になった。また、シリコーンは疎水性の強い物質上で細胞培養を行うことは困難であったが、シリコーン表面の処理法により細胞の接着を改善することができた。それらにより以前より複雑な形状のシリコーン血管内での効率的な血管内皮細胞培養が可能となった。これらの成果は本研究の重要な基盤となると考えられ、研究はおおむね予定通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度にあたり、これまでに確立した方法で灌流培養実験を行い、CFDにおける計算結果との関連を検討する。具体的には脳動脈瘤内のどの部分において血管内皮細胞の炎症、アポトーシスなどに関わるタンパク質発現変化を認めるか、どのCFDパラメーターがそれらの変化と関連があるかを検討する。それにより増大や破裂と関係があると考えられる反応を引き起こすCFDパラメーターを検討し、将来的にはCFDが未破裂脳動脈瘤の増大、破裂を予測可能なツールとなることを目指している。
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Causes of Carryover |
CFDに必要なソフトウェアを年間50万円と計上していたが、無償による試用として利用することが可能であったため45万円程度が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体、ヒト血管内皮細胞および培養関連試薬等の購入に使用する。
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