2015 Fiscal Year Research-status Report
IL-10産生による中枢神経系悪性リンパ腫の免疫回避と増殖/浸潤機構の解明
Project/Area Number |
15K19981
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
笹川 泰生 金沢大学, 大学病院, 助教 (70387372)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中枢神経系リンパ腫 / インターロイキン10 / 脳脊髄液 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経悪性リンパ腫 (び漫性大細胞型B細胞リンパ腫)の生存期間中央値は約3年であり、脳腫瘍の中でも予後不良な悪性新生物である。予後を改善するために、早期診断と有効な治療薬の確立が重要となる。本研究では眼窩内リンパ腫で過剰発現しているサイトカインIL-10に注目した。中枢神経悪性リンパ腫でもIL-10が過剰分泌されていると仮説し、①中枢神経悪性リンパ腫におけるIL-10の過剰分泌を検討し、コントロール(他の鑑別疾患)と比較検討する。また、②リンパ腫細胞におけるIL-10およびレセプターの発現を臨床病理学的および培養細胞を用いて検討する。これによりIL-10に関与した細胞増殖機構を解明し、分子標的薬への基盤を確立することを目的とした。インフォームドコンセントが得られた約50名の患者について脳脊髄液IL-10をELISA法にて微量測定を行い、過剰分泌されているか検討した。同様の方法でIL-6, beta-2 macroglobulin, 可溶性IL-2レセプターについても微量測定を行った。また同患者におけるPET-CTでの異常集積値 (SUVmax)を測定した。これらの値を統計学的に処理し(ROC曲線を作成)、中枢神経系リンパ腫の鑑別診断におけるIL-10の感度・特異度を他の検査値と比較検討した。リンパ腫患者はコントロール患者に比して脳脊髄液IL-10が高値であった。リンパ腫患者は平均28 pg/ml (range 2–4,100 pg/ml)で、コントロール患者は全例感度以下(<2 pg/ml)であった。また、リンパ腫診断のためのIL-10値の感度/特異度は94.7/100%であり、他の検査項目に比べ高い信頼が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-10における髄液腔への過剰分泌や診断的利用価値の結果については英文雑誌にて報告した。今後はIL-10およびレセプターの免疫組織学的な検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で髄液IL-10の分泌濃度と免疫組織学的な結果において相関は得られていない。症例数を追加するとともに抗体性質や染色手法などの技術的な面を再検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度内に使用する予定の抗体に関して、本研究計画の最適化試行の結果、来年度に繰り越して使用する必要性が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの消耗品類の予算は、来年度の同様の予算に加えることによって、予定の実験(計画書に記載)が、より効率良く最適化した方法で遂行できる予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] NAB2-STAT6 fusion gene analysis in two cases of meningeal solitary fibrous tumor/hemangiopericytoma with late distant metastases.2015
Author(s)
Nakada S, Minato H, Takegami T, Kurose N, Ikeda H, Kobayashi M, Sasagawa Y, Akai T, Kato T, Yamamoto N, Nojima T.
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Journal Title
Brain Tumor Pathol
Volume: 32
Pages: 268-274
DOI
Peer Reviewed
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