2015 Fiscal Year Research-status Report
免疫寛容離脱を目的とした腎癌治療における脾臓摘除の可能性
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15K20076
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野原 隆弘 金沢大学, 大学病院, 助教 (20733372)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
転移性腎細胞癌の予後は改善しつつあるが薬物療法の奏効期間が限られており、満足のいく予後の改善は得られていないのが現状である。近年、がん細胞が発現しているT細胞の活性を抑制する分子を標的とした治療薬、すなわち免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる、新たな機序による治療法が台頭し、良好な成績が報告されている。腎細胞癌の進展は免疫寛容によるところが大きいためこのような免疫活性化を促すような治療法は極めて有効であると考えられる。 我々の研究も腎細胞癌の進展が免疫の状態に依存していることに立脚している。まず、腎細胞癌細胞株Caki-1、Caki-2、ACHNを用いて、入手及び培養法が比較的容易な免疫系細胞としてヒトマクロファージ様細胞株THP-1、U937との共培養を行い、増殖や浸潤・転移能の変化を検証した。共培養は6-well transwell plate (BD Biosciences)を用いて行なった。細胞増殖は自動計測器にて測定した。遊走能assayは、24-well transwell plate (BD Biosciences)を用いて行なった。腎細胞癌細胞株はマクロファージ様細胞との共培養で遊走能が亢進するものも認められた。また、マクロファージ様細胞の遊走能についても検討したところ、腎細胞癌細胞株との共培養ののち、遊走能が亢進していることがわかった。これらのマクロファージ様細胞をさらに免疫抑制系のいわゆるM2タイプへと分化させ、腎細胞癌細胞との相互作用を検討する目的で、U937にPMAを添加しその変化を検証した。ウェスタンブロットによりU937はM2マーカーであるCD206が増加し、M1マーカーであるCCR7が減少した。今後、このM2タイプU937を用い実験を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた実験の中で、一部未だ評価されていないものもあるものの、大筋の実験の流れは順調に進んでいると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、樹状細胞、さらには骨髄由来サプレッサー細胞(myeloid-derived suppressor cells: MDSC)と腎癌細胞株との相互作用について調べていく予定である。 さらにヒト組織を用いた免疫組織学的な検討と、マウスを用いたin vivoの実験も行う予定である。
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Causes of Carryover |
マクロファージ以外の免疫細胞の実験も一部行う予定であったができなかったため多少の残額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに使用する免疫細胞も決まっているので、必要な消耗品を購入することになると考えている。
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