2016 Fiscal Year Research-status Report
マウス受精卵における受精卵呼吸量測定装置を用いた呼吸量測定の安全性の検討
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15K20122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志賀 尚美 東北大学, 大学病院, 助教 (20595558)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不妊治療 / 体外受精 / 受精卵質評価 / 受精卵呼吸量測定装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス受精卵を用いて受精卵呼吸量測定装置の安全性を確認するため以下の研究テーマを検討した。 ①《体外受精後3.5日目の受精卵の形態学的評価および呼吸量を計測する》代表的な近交系実験用マウスを用いた。雌マウス由来の卵丘細胞塊と雄マウス由来の新鮮精子を体外受精させ受精卵を獲得して体外培養した。3.5日目に胚盤胞を回収し、倒立顕微鏡にて形態学的評価し、受精卵呼吸量測定装置で呼吸量を計測した。以上を体外受精69周期、胚盤胞251個に対し行った。 ②《体外受精後3.5日目の受精卵の呼吸量測定と呼吸量に関係するパラメータ(免疫染色による細胞数カウント、ATP測定、DNAコピー数)のとの関係を評価する》細胞数カウントにおいては、呼吸量測定胚30個の細胞数を測定した。呼吸量の高い胚において全細胞数が多い傾向は認めるものの、内細胞塊数、全細胞数ともに呼吸量との有意な相関は認めなかった。ATP測定については胚56個を解析し、呼吸量とATPには有意な相関を認めなかった。この結果より、マウス胚は開発したチップによる胚呼吸量測定には大きさが適合しないか、呼吸量が小さすぎるなどの原因を考えた。そこで、集合キメラ胚15個を作成して再度呼吸量とATP量の相関をみたところ、有意な正の相関を認めた。DNAコピー数については予備実験にて胚10個のDNA抽出をしたが解析に十分量のDNAが得られなかった。 ③《体外受精後3.5日目の受精卵の呼吸量と出産率の関係を検討する》受精卵呼吸量測定装置による受精卵質評価の安全性を検証するため、偽妊娠レシピエント雌6匹の卵管膨大部に呼吸量測定後の胚盤胞55個を移植した。レシピエント雌2匹から計3匹の出産を確認できたが、いずれもレシピエントによる食殺の跡があり、確認時死亡していたため正確な出産数の把握ができていない。上記の結果をうけ、集合キメラ胚を用いた方法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、単一胚由来胚盤胞ではなく集合キメラ胚での評価が好ましいことが明らかとなったため、今後の検討は集合キメラ胚の胚盤胞にて行っていく方針がたっている。呼吸量および呼吸に関するパラメータの計測の手法はすでに確立している。よって、今後キメラ胚に対して本年度単一胚に行った手法をおこなうことで研究は順調に進むと思われる。また、受精卵呼吸量測定装置による受精卵質評価の安全性を検証するための胚移植から産子の獲得の研究手法も確立させたため、今後はキメラ胚で継続することにより目的のデータ取得が可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を元に、集合キメラ胚胚盤胞の呼吸量測定を行い、各種分子生物学的パラメータとの相関を検証するとともに、呼吸に関するパラメータの計測を行う。また、現在行っていないパラメータの計測も検討中である。また、呼吸量と妊娠、出産などの周産期予後との関連を明らかとし、胚移植から得られた産子の正常性を検討し、また生殖能力についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度請求額と合わせ平成29年度の研究遂行に使用する予定である。
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