2016 Fiscal Year Research-status Report
内耳におけるリン脂質代謝酵素と小胞体ストレス応答の解明
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15K20178
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松井 祐興 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (60594322)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内耳 / 蝸牛 / DGK / 内有毛細胞 / 外有毛細胞 / らせん神経節 / ジアシルグリセロールキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
正常モルモット蝸牛におけるDGK(ジアシルグリセロールキナーゼ)アイソザイムのRT-PCRを施行したところDGKα、DGKε、DGKζが強く発現していることが明らかとなった。DGKιでも弱い発現は見られたが、DGKβ、DGKγは検出感度以下であった。 正常モルモット蝸牛を縦断切片であるCryosection法で観察すると、1列の内有毛細胞と3列の外有毛細胞、そしてそれらを下支えする支持細胞の配列が見られた。有毛細胞マーカーの抗カルモジュリン抗体を用いて、内有毛細胞の細胞質、外有毛細胞の不動毛、クチクラ板における発現を確認した。正常コルチ器にけるDGKζ免疫反応は内有毛細胞、支持細胞の核内に強く検出された。またDGKζ免疫陽性反応は外有毛細胞の核内にも認められたが、内有毛細胞、支持細胞に比べると、その反応は弱いものであった。 コルチ器全体をWhole mount法で解析するとDGKζ免疫反応は内有毛細胞の核内に強く検出されるのに対し、外有毛細胞の核内では弱いシグナルであった。さらに支持細胞マーカーであるSox2と多重染色を行うと、有毛細胞の深層に位置するSox2陽性の支持細胞の核はDGKζ免疫陽性反応を示しており、DGKζは支持細胞の核内にも局在することが明らかとなった 。 らせん神経節では、Parvalbumin陽性のらせん神経節細胞の核内にDGKζ陽性像が検出されたが、その周囲を支えるグリア細胞にはDGKζ免疫反応は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内耳におけるDGKεの検索を予定していたが、抗体の関係で、免疫染色含めた実験がすすまなかった。そこでDGKのアイソザイムであるDGKζの実験も行った。内耳におけるDGKζの局在を解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初における内耳における小胞体ストレス反応を解析予定である。また、音響暴露によるストレス障害モデルを用いて、内耳におけるDGKεやDGKζの発現および機能解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
計画はすすんだが、遅れた分の試薬が未購入であるため、若干の次年度使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蝸牛における関連抗体や小胞体ストレス関連の抗体およびそれぞれのPCR用プライマーを購入予定である。
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