2015 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/Casを用いた頭頸部癌のゲノム改変と発癌モデルの開発
Project/Area Number |
15K20203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
チョウ 弘規 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40648812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CRISPR/Cas |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「CRISPR/Cas」システムを用いて、①頭頸部扁平上皮癌細胞のゲノム改変を行い、その発癌過程における遺伝子異常の役割を解明すること、②また、正常頭頸部扁平上皮細胞を採取し、そのゲノムにCRISPR/Cas を用いて既知の頭頸部癌遺伝子異常部位を導入することにより頭頸部の発癌モデルが作成可能かどうか検討することの二つを目的としている。 平成27年度研究実施計画では、頭頸部扁平上皮癌細胞株でのCRISPR/Cas を用いたノックアウト・ノックイン細胞の作成を計画したが、ノックアウト細胞については、Det562、Fadu、UMSCC47の3種類について樹立した。これらは当初の予定どおり、ターゲット部位特異的gRNA とCas9を共導入することによって行った。遺伝子はP53、PIK3CAについてノックアウトを行い、それらの細胞株についてそれぞれPCR、シークエンスにて破壊を確認した。また、ノックアウトによる表現型解析は増殖アッセイ、細胞周期アッセイを行い、目的の遺伝子がdysfunctionすることによる細胞挙動の変化を確認した。UMSCC47については、当初の遺伝子に加えてE6、E7をノックアウトすることに成功し、このことはHPV陽性中咽頭癌の遺伝子治療の基礎的開発の端緒になりうるものである。 今後、ノックイン細胞の作成とノックアウト細胞の表現型解析をさらに進めることで、平成28年度研究実施計画と併せることで上記②の目的の達が得られるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノックイン細胞の作成に困難がある。すなわち、本研究の目的遺伝子の脱落は細胞の生存にとって致死的であり、CRISPR/Cas9導入後にsingle cell化して目的細胞を増殖させることが難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り、ノックイン細胞を作成し、細胞株を樹立し、平成28年度実施計画につなげる。困難である場合、ノックアウト細胞でin vivoの実験系を行い、解析を行う。
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Causes of Carryover |
予定していたノックイン細胞株の樹立が遅れているため、その後の実験動物の購入おが予定通りの数に達していない。これは、平成28年度に甲奴する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノックイン細胞株の樹立後、速やかに実験動物への細胞株導入を進める。そのためのマウス購入と、維持費に使用する予定である。また、ノックイン細胞株評価のために実験系についての経費にもあわせて使用する予定である。
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