2015 Fiscal Year Research-status Report
常温セラミックス膜形成技術を応用したジルコニアの接着前装に関する研究
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15K20447
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 綾乃 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 研究協力員 (10749394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジルコニア / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ジルコニアはCAD/CAMシステムを用いて加工され、歯冠修復物やインプラント上部構造のフレーム材として用いられている。多くの場合ジルコニアの表面は、天然歯と同様な色調を再現するために、陶材やコンポジットレジンで前装されるが、その前装部の破折が比較的多い偶発症のひとつとして問題視されている。 コンポジットレジンがジルコニアフレームに強力に接着できれば、大型の補綴装置であっても、焼成収縮に起因する亀裂の発生はなく、たとえ前装部が破折したとしても比較的容易に補修ができると考えられる。しかし、金属や他のセラミックスなどに比べると、ジルコニアの接着性は著しく低いことが分かっている。 そこで本研究では、ジルコニアの表面を改質することによって、レジンとの接着力を改善することを目的としている。本年度はジルコニア試料の表面にエアロゾルデポジション装置を用いてアルミナ膜を製膜する努力を行った。しかし企業の協力はむなしく、その実現には未だ至っていない。 そこでこのような場合を想定した計画にしたがって、他の製膜方法も試みている。すなわちアルミナ微粒子を主成分とする無機接着剤による製膜やイオンスパッタリングによる金の製膜などを行い、またコントロールとして研削した試料を作製した。それぞれの試料と前装用コンポジットレジンとの接着強さをせん断接着試験によって評価した結果、ジルコニアの接着性はこれらの表面処理によって有意に影響を受けることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に沿って研究を進めた。エアロゾルデポジションによる製膜に苦労することは想定の範囲であり、あらかじめ立てていた対応策にしたがって、他の製膜法に関する実験も行った。その結果、次年度の研究につながる知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究実施計画に基づいて研究を行うとともに、必要な場合は実験方法を適宜修正して今後の研究を推進する。
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Causes of Carryover |
卓上走査電子顕微鏡で共同購入としたことや、物品の値引きによって次年度使用可能な金額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な物品の購入費、当該研究に必要な情報収集や学会発表のための旅費、その他論文作成のための緒経費等に使用する計画である。
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