2015 Fiscal Year Research-status Report
女性人工股関節全置換術患者の歩容の自己評価と心理社会的側面の相互の影響
Project/Area Number |
15K20710
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
松本 智里 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (10738389)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工股関節全置換術(THA) / 歩容 / 自己評価 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は【女性人工股関節全置換術(以下THA)患者と寛骨臼骨切り術(以下RAO)患者の歩容の自己評価と心理社会面を比較し、THA患者とRAO患者の差別化を図る】ことを目的に研究を進めた。A県の一特定機能病院の整形外科に通院する、術後6~12ヶ月の女性THAおよびRAO患者を対象に、術前後の歩容の自己評価と心理社会的側面を無記名自記式質問紙調査を行った。心理社会的側面は、自尊感情(自尊感情尺度)、全体的健康感(SF-36)、公的自己意識(自己意識尺度)、抑うつ(CES-D)である。また、跛行、杖への思いも同時に測定した。 その結果、THA患者70名、RAO患者9名の回答が得られた。RAO患者は回収数が少ないため、THA患者のみ分析を進めた。THA患者の歩容の自己評価は術前に比べ術後で有意に高かった。また、術前に比べ術後は、全体的健康感と自尊感情が有意に高く、公的自己意識が高まり、抑うつ傾向は低くなるという結果が出た。重回帰分析の結果、術後の歩容に影響するのは抑うつであり、術前の歩容に影響するのは跛行への思いであった。 以上より、術前と術後の歩容の自己評価と心理社会的側面には違いがあり、歩容の自己評価に影響するものにも違いがあることが明らかとなった。
以上の結果を元に、女性THA患者の歩容の自己評価と影響しあうと考えられる心理社会的側面を今後検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノートパソコンやデータ分析ソフトを購入し、研究に必要な環境を整えることができた。また、データ収集先のフィールドも確保できたため、平成27年度の研究実施計画をおおむね実施できている。データ分析は現在進行中であるが、THA患者のデータ収集は終えている。平成28年度は平成27年度の研究を元にモデルを作成する予定であるが、THA患者のみを扱った研究を行う予定なので、平成27年度分はTHA患者のデータがあれば進行することが可能である。 また、回収数が少なかったRAO患者は研究分担者の協力を得て現在もデータ収集中であり、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は平成27年度の研究結果を基にして、さらに質問紙調査を重ねることによって、THA患者の歩容の自己評価と相互の心理社会的側面の相互の影響モデルを作成する。現在、質問紙調査に向けて倫理申請を進めており、今年度は縦断研究を予定しており、データ収集に時間がかかることが予想される。よって、データ収集を中心に行い、それを基にして来年度に分析・モデルの修正や検討を重ねることとする。
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Causes of Carryover |
人件費として予定していた専門家を招集できなかったので、人件費が発生しなかった。また、予定していた学会に業務のために参加できなかったので、旅費が予定よりかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は当初予定していた使用額に加え、データ分析ソフトの分析方法の研修(参加費・旅費を含めて70000円程度)を加える予定である。また、次年度の研究には謝礼を予定しているが、予定よりデータ収集人数の増加を見込んでいるため、25000円程度を謝金に加える予定である。
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