2015 Fiscal Year Research-status Report
精神科における退院支援上の専門職連携強化のための看護師現任教育プログラムの開発
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15K20769
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
葛谷 玲子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教 (30598917)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神看護 / 退院支援 / 専門職連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
単科精神科病院の看護師が体験する退院支援における専門職連携上の困難を明らかにすることを目的とし、A県内の民間単科精神科病院5施設にて退院支援上の専門職連携についての課題を認識している看護師18名を対象とした聞き取り調査を行った。データは、個別あるいはグループでのインタビューガイドを用いた半構成的面接により収集した。対象者に許可を得て録音し、逐語録を作成、質的に内容分析を行った。 分析の結果、専門職連携の現状と困難が明らかとなった。現状として、「院内外の他職種との情報共有」「多職種カンファレンスの実施」「多職種カンファレンス実施のための働きかけや工夫」があった。院内の他職種とは、「医師へのコンタクトのとり方を工夫」「院内他職種への積極的な声かけ」をしながら、「院内他職種への支援の依頼」「院内他職種と協力しながらの支援」をしていた。また、「質問・相談しやすい院内他職種との関係性」や「システム変更による連携の円滑化」を感じていた。院外との関係では、「退院後利用する施設の体験」や「院外他職種・住民との関わり」、「当事者との協力」があった。看護師は、「看護師の熱意や自信」をもち「勉強会の実施」や「看護師間での助け合い」をしていた。 専門職連携上の困難として、「院内外ともに他職種との情報共有が不十分」「院内外ともに他職種との話し合いが不十分」「時間・マンパワーの問題により連携が不十分」であることが明らかとなった。また、院内他職種とは「医師へのアプローチ不足」や「院内の特定の職種との連携不足」があり、「PSWに頼りがち」であることも示された。また、「院外の他職種との連携不足」があった。看護師においては「看護師の知識・力量不足によ連携が不十分」「看護師のモチベーション低下により連携が不十分」「看護師間の協力不足」があり、「経験不足や失敗経験による退院支援の困難感」を抱えていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単科精神科病院の看護師が体験する退院支援における専門職連携上の困難を明らかにすることを目的としたインタビュー調査は平成27年度中に実施することができた。しかし、データが膨大であったため、分析に時間がかかり分析・考察に至っていない。そのため、学会発表も行っていないため、分析・考察を十分に進めていき結果を公表していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、先駆的な退院支援を行っている単科精神科病院の看護師が有する専門職連携におけるコンピテンスを明らかにするための調査を行う。具体的には、先駆的な退院支援を行っている単科精神科病院に勤務する看護師に対してインタビュー調査を行い、専門職連携において意図的に実施していること、専門職連携に必要だと考える能力、平成27年度の研究で明らかにした専門職連携上の困難を解消するために必要な能力、役に立った研修内容などを聞きとる。また、教育担当者などにもインタビューを行い、専門職連携教育に関して工夫している点や特徴的な点を聞きとる。また、教育内容を資料等で把握する。これらの調査は、2~3施設で実施する予定である。8月末までに倫理審査の承認を受け、9月までに1施設での調査を実施する。また、12月までにさらに1施設、状況に応じて2月までにさらに1施設にて調査を実施する。 平成29年3月までに現任教育における専門職連携教育に関する文献調査を実施する。
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Causes of Carryover |
謝金の使用が予定額よりも少なかった。研究協力病院の看護部長等の看護部責任者への研究依頼時にも謝金を支払う予定であったが勤務時間内での依頼となり、謝金を払うことがなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額22,960円は図書の購入に充てる。また、40,000円で図書およびUSBなどの消耗品を購入する。 平成28年度は先駆的な退院支援を行っている国内の単科精神科病院に勤務する看護師へのインタビュー調査を行うが、最大3施設を予定しているため研究依頼、打ち合わせ、調査を含めて1施設80,000円、3施設で240,000円の旅費を使用する予定である。成果発表のための旅費35,000円を含めて275,000円を旅費として使用する予定である。インタビュー調査の謝金として21,000円、インタビュー内容のテープ起こし等に164,000円を使用する予定である。
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