2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K20828
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40538279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海棲哺乳類 / 海洋環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では群遊性海棲哺乳類の来遊予測をすることを目的に,北海道沿岸に来遊するカマイルカを対象として研究を行った.平成27年度は北海道大学練習船うしお丸にて北海道沿岸の目視調査を行った.6,9月は日本海沿岸で行ったが,カマイルカの発見頭数は0であった.8,10月は道東への調査航海を行い,8月では23群182頭、10月では26群402頭のカマイルカの発見があった.さらに,10月の調査ではカマイルカの群れに接近することができ,船首波に乗った個体からバイオプシーによって皮膚サンプルを得ることができた(n=17).また,青森県深浦,北海道襟裳岬,猿払,網走などでカマイルカの来遊に関する聞き取りやアンケートを行った.さらに,カマイルカへの衛星発信器装着による回遊追跡を目的として,浅虫水族館の協力のもと,5月に青森県においてカマイルカの混獲個体の収集につとめた.同時に,カマイルカの来遊をモニタリングするため,定置網に音響記録計および水温記録計を設置した.滞在中に混獲されることはなかったが,音響記録計からは鳴音が記録されていたことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は混獲個体が収集されず,衛星発信器を装着することができなかったということから,やや遅れていると考える.しかし,乗船調査において,当初予想していたよりも多くのサンプルが得られたこと,また,音響記録計による鳴音モニタリングの有効性が実証されたこと,これまでの結果をまとめて論文として準備していることから,全体的にはおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年10月の調査ではカマイルカの群れに接近することができ,バイオプシーのサンプルを得ることができた.この手法は船からの衛星発信器装着にも使用できるものであり,翌年度に青森県でカマイルカが混獲されない場合に,代替案として追跡可能な手法である.また,バイオプシーで得られた皮膚サンプルを安定同位体分析することにより,栄養段階についての情報が得られることから,今年度は分析を行い,カマイルカの摂餌生態に関する知見を深めていく.
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Causes of Carryover |
円安による衛星発信器の価格の高騰から,購入する機材の変更および台数の変更などを行ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
バイオプシーのサンプリングがうまくいったため,安定同位体分析の費用に使う.
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