2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of forecasting method for schooling marine mammals
Project/Area Number |
15K20828
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40538279)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海棲哺乳類 / 海洋環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では群遊性海棲哺乳類の来遊予測をすることを目的に,北海道沿岸に来遊するカマイルカを対象として調査・研究を行った.平成28年度は観光船および北海道大学練習船うしお丸にて北海道沿岸の目視調査を行った. さらに,8月の調査ではカマイルカの群れに接近することができ,バイオプシーによって皮膚サンプルを得ることができた.昨年度に十勝沖で得られたサンプルとあわせて安定同位体分析をおこなった.その結果,カマイルカはイワシ類やイカ類、表層性群集性の魚類などを摂餌していることが推測された.また,青森県において浅虫水族館の協力のもと,5月にカマイルカの混獲個体に衛星発信器を装着した. これらの結果,北太平洋固有種であるカマイルカは,太平洋の沖合にも分布する一方,日本沿岸では岸に近く,浅い海域に主に分布することが明らかとなった.特に,授乳期に利用していると考えられる北海道東部では,水深100m以浅に分布していることが明らかとなった. これまで得られたデータを統合解析したところ,表層水温とカマイルカの分布に関係があること,本種の餌が表層性の魚類であり,群遊性のイワシなどの分布とも関係があることが明らかとなった.よって,水深のように固定されたパラメータと,表層水温のようにリモートセンシングで得られるパラメータを併せて解析することにより,カマイルカの来遊について予測することが可能と考えられた. また,特に青森から北海道周辺海域における本種は,1)沿岸に分布すること,2)実際に定置網に混獲されること,また定置網に設置した音響記録計に鳴音が記録されていたこと,3)聞き取り調査から,青森県および北海道日本海側では,カマイルカが来遊すると漁獲が減る,という回答が寄せられたことから,定置網への混獲リスクがあること,カマイルカの餌生物が漁業対象種と重複することなど,漁業との競合可能性が示唆された.
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Research Products
(5 results)