2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on outer membrane stability and permeability of primitive chloroplasts and its evolutionary relationships between Gram-negative bacteria
Project/Area Number |
15K20860
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
児島 征司 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20745111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞壁 / ペプチドグリカン / 外膜 / チャネル / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]具体的内容: 外膜の安定的維持に必須の細胞壁ペプチドグリカン (PG) 接着性の蛋白質として H27 年度に単離した藍藻 Synechocystis sp. PCC6803 (以下 Synechocystis) の Slr0042/1841/1908 及び灰色藻 Cyanophora paradoxa の葉緑体(以下 cyanelle) の二つの主要外膜蛋白質 (CppS/F と命名)の機能解析を、昨年度に引き続き行った。Slr0042/1841/1908 は C 末端側の膜貫通領域で、無機イオン等の分子量の小さな物質を非特異的に透過する拡散チャネルを形成していることを明らかにした。一方、サイズの比較的大きい炭水化物などの有機化合物は本チャネルを通過しなかった。藍藻は独立栄養性であるため、必ずしも外から有機化合物を取り入れる必要がない。従って本チャネルは藍藻の栄養生理によく適合した性質を持つと言える。CppS/F に関しては昨年度得た成果をまとめて論文を作成した。本成果はJ. Biol. Chem. に掲載された。 [2]意義・重要性:①藍藻から原始的葉緑体 (cyanelle) への進化的変換過程で、非藍藻系統(恐らく、グラム陰性細菌 Planctomycetes 門由来と思われる)由来の外膜蛋白質が藍藻由来の外膜蛋白質と入れ替わったことが初めて明らかになった。本成果は、葉緑体の成り立ちにおける非藍藻系統由来因子の関与を示した初めての例である。②藍藻の外膜についてのこれまでの知見は断片的であったが、本研究で、外膜チャネルの性質と外膜透過性についての情報がはっきりと得られた。本成果は、藍藻から葉緑体への進化過程における外膜の性質変換を考察するうえで貴重な知見となる。
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