2018 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of psychoeducation through comics for young people with Obsessive-Compulsive Disorder
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15K20915
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永岡 紗和子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (10633315)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 強迫性障害 / 自閉スペクトラム / 心理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
強迫性障害 (Obsessive-Compulsive Disorder;OCD) とは、意思とは無関係に繰り返し頭に浮かび不安を生じさせる強迫観念と、強迫観念を振り払うために繰り返し行われる強迫行為からなる疾患である。平均発症年齢は19.5歳であり、近年は自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)など発達障害との関連も示唆されている。本研究では、若年層や自閉スペクトラム傾向の高い方向けの漫画の心理教育を作成し、漫画による心理教育が疾患の理解とモチベーションに及ぼす効果を検証した。 大学生56名を対象に調査研究を実施した。まず強迫性障害の治療について描いた漫画を、子どもの臨床を元に精神科医2名・臨床心理士2名で校正して作成し、実験刺激として使用した。比較する統制刺激としては一般的な大人のOCD治療で心理教育として用いられる飯倉(1999)による「強迫性障害の治療ガイド」から引用し、テキストでの心理教育の例として使用した。二つの心理教育資料は、1. 強迫性障害の症状、2. 強迫観念と強迫行為の悪循環、3. 回避の悪循環、4.不安階層表の作り方、5. ERPのやり方や心構え、6. 治療経過の紹介、などが共通項として構成されている。また、自閉スペクトラム傾向を若林(2016)による日本語版自閉症スペクトラム指数 (Autism-Spectrum Quotient, AQ)50項目にて測定し、刺激との関連を検討した。 刺激の違いとAQ高低による分散分析の結果、AQ高群はテキストよりも漫画の方が心理教育を理解しやすいと示された。また、テキスト群においてAQ高群は低群よりも理解度が落ちる傾向が示された。これらのことから、自閉スペクトラム傾向の高い人にとっては、治療を視覚的にイメージしやすい漫画での心理教育が、治療の理解を向上させる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)