2015 Fiscal Year Research-status Report
サプライズを踏まえたエネルギー・シナリオの拡張と政策過程への適用の検討
Project/Area Number |
15K20923
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 昌広 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 講師 (20503428)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エネルギー・シナリオ / イノベーション / 統合評価モデル / エネルギー経済モデル / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はエネルギー・シナリオにおけるサプライズを考察するために、エネルギー・モデルに用いられるパラメーターを収集し、今後の分析のためのデータ整備に注力する。これと並行して、エネルギー・シナリオに関する文献調査の実施、またシナリオが政策でどのように扱われているかに関して政策担当者等にインタビューを実施した。 データに関しては太陽光発電と二酸化炭素回収・貯留に着目し、公知情報として得られるシナリオ・データベースや研究機関の報告書等にあたり、データの収集を行った。具体的には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)関連のシナリオ・データベース、米国Energy Information Administration、国際エネルギー機関などの報告書を対象に情報収集を行った。当初の想定よりデータの収集は困難であることが分かったが、断片的ながら研究の仮説を支持することができる情報は集めることができた。 文献調査ではエネルギー・シナリオと政策過程の接合性について調査を行った。エネルギー・モデルはエネルギー政策で中心的な役割を果たすのにも関わらず、モデル開発においては最近のコンピューター・サイエンスの知見などが反映されていないことが明らかになった。 インタビューでは国内外の一部の関係者に地球温暖化対策の立案にあたってどのようにシナリオ情報を扱っているかを半構造化インタビューを実施した。国内外でシナリオ分析研究の品質管理(特に査読付き学術論文の位置づけ)について考え方が異なることが明らかになった。 なお、研究を通じて思索をめぐらせた点について、査読付きではないが2点の論考(Sugiyama et al. 2016, Nature; 杉山 2016, 環境経済・政策研究)にまとめ投稿した。両方とも謝辞を書くことができないため、科研費についての言及はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定よりデータの収集が難航しており、希望していたほどのデータは集まっていない。しかし様々な種類のデータを組み合わせることで仮説の検証は可能である程度のデータは集まっている。また学習曲線・経験曲線の理論を援用することで、複数のデータを組み合わた分析は今後実施可能と思われる。こうした理由でおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画については基本的には当初のものを踏まえるが、上述したデータ収集の難航を踏まえ、学習曲線・経験曲線を活用し、データの不足をより適切な理論的な分析枠組みで補うことにした。 またエネルギー・シナリオと政策過程との接合性については、イノベーション研究で生み出され政策科学にも応用されているabsorptive capacityという概念を活用し、エネルギー・シナリオを活用したevidence-based policyのあり方について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
資料費の金額が若干当初想定と異なった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料の購入費用にあてる。
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Research Products
(2 results)