2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the neural basis and neurophysiological marker of reactive attachment disorder caused by childhood maltreatment using functional brain imaging
Project/Area Number |
15K21026
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
滝口 慎一郎 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特命助教 (70382926)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 反応性愛着障害 / 児童虐待 / 脳画像解析 / fMRI / 報酬系 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期の虐待・ネグレクトによって引き起こされる反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害、以下 RAD)の神経基盤・病態を明らかにするために、本研究では脳イメージングを用いてRAD特有の脳機能障害の有無を特定することを目的とした。10~15歳のRAD児16名と定型発達児20名を対象に金銭報酬課題を行い、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で神経賦活度を測定した。その結果、RAD群では定型発達児と比べて腹側線条体の賦活度が有意に低下していることがわかった。また、愛着スタイルでは回避的な対人関係、感受性期解析では幼児期の虐待が、腹側線条体の脳活動低下と関連していた。以上より、RAD児では報酬系の機能低下および対人関係の症状や虐待を受けた時期との関連が示唆された。次に、薬理学的介入に伴う脳賦活変化を検証した。10~15歳のRAD男児20名と定型発達男児28名に、オキシトシン点鼻またはプラセボ単回投与による二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験を行い、金銭報酬課題を用いてfMRIで神経賦活度を測定した。その結果、RAD群ではオキシトシン点鼻によって報酬感受性条件において線条体の脳賦活上昇がみられた。今回の結果は、反応性愛着障害の病態解明および病態特徴に基づく治療薬開発を目指した臨床応用への発展に貢献することが期待できる。本研究は分子生物学的・生理学的指標解析も含めて今後も継続していく予定である。
|