2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21040
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
久保田 浩史 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70375468)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 受動的 / 能動的 / 把持力 / 筋力発揮 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋力発揮には、能動的に自らが筋力を発揮する場合(能動的筋力発揮)と、外力に抵抗して受動的に筋力を発揮する場合(受動的筋力発揮)がある。スポーツ場面では、その両者の筋力発揮が行われる。前者は通常の筋力測定であり数多く行われているが、後者に関して、外力に対して筋が伸ばされながら筋力を発揮する伸張性筋力発揮や、外力に対して拮抗するように筋力を発揮する受動的な筋力に関しては検討されていない。そこで本研究では、受動的発揮筋力の測定方法を開発し、その特性を検討する。測定する筋力は、把持力と腕屈曲力とする。 平成27年度においては、把持力測定器と腕屈曲力測定器の開発を行い、主に把持力の測定方法について検討した。被験者は健康な若年男性15名とした。把持力測定では、握り棒と測定器の把握部を一緒に握り、モーターによってワイヤーを巻き取り、その際の力を張力計で測定し、データをパソコンにリアルタイムで記録した。被験者が握りをキープできなくなった時点で測定終了とし、その際の最大値を受動的発揮筋力として評価した。その結果、利き手の最大握力が平均50.0±4.9kgに対して、受動的発揮握力は平均57.8±7.8kgであった。また、非利き手の最大握力が平均49.3±3.9kgに対して、受動的発揮握力は平均54.9±6.9kgであった。受動的発揮握力/最大握力比の平均は、利き手において1.16、非利き手において1.12で、受動的発揮握力が大きかった。また、個人差が最大握力に比べて、受動的発揮握力の方が大きいことが明らかとなった。今後、研究計画に沿って実験を行い、受動的筋力発揮の特性が明らかにされれば、スポーツ競技力向上の一助になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、主に把持力測定器を用いて、受動的発揮握力の測定方法を検討した。受動的発揮握力を測定するには、モーターがワイヤーを巻き取る力と握力が限界を超えるまで拮抗するようにしなければならない。そのため、把握部とモーターの間に、バネを挿入したが、当初のバネの抵抗が強すぎたため、拮抗する場面がなく、測定が不可能であった。その後、バネの抵抗を軽くし、拮抗することが可能となった。また、モーターがワイヤーを巻き取る最適速度が、未だ不明である。速度が遅すぎると、疲労の影響を排除できず、筋持久力の要素も入ってしまう。現在、巻取りの速度を検討中である。また、把握部を握れなくなった時点で測定終了としているが、どの程度、握り幅が可変したら、測定終了とするかも要検討である。
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Strategy for Future Research Activity |
把持力測定器を用いて、受動的発揮握力の測定方法を確立するための実験を推進する。そのためには、多くの被験者を対象とした実験を行う。また、腕屈曲力測定器を用いて、受動的発揮の腕屈曲力の測定も推進する。最終的には、能動的発揮筋力と受動的発揮筋力の違いを明らかにすること、また、専門とするスポーツ種目が受動的発揮筋力に及ぼす影響の検討を行う。
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Causes of Carryover |
測定器および改良部品を購入し、その残金が発生したが、少額なため、使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表等で使用する予定である
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