2015 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病におけるミトコンドリア品質管理と変異型mtDNA蓄積の相関解析
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15K21081
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
福家 聡 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20422660)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / パーキンソン病 / ミトコンドリアDNA / Parkin / Polg |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家族性パーキンソン病原因遺伝子Parkinが不良ミトコンドリアのオートファジーによる選択的分解(mitophagy)を司ることに注目し、内因性ミトコンドリア機能障害の原因としての欠失変異型ミトコンドリアDNA(欠失mtDNA)蓄積との相関を明らかにすることで、パーキンソン病の発症メカニズムの解明を目的とする。本年度は、マウス神経芽細胞株Neuro2aを用いて、CCCP処理によって膜電位を失ったミトコンドリアの中には、GFP-Parkin局在変化が観察されないものも少なくないことから、ミトコンドリア脱分極が必ずしもmitophagyを誘導しないことを明らかにした。これは、mitophagyによるミトコンドリア品質管理において、ミトコンドリアの脱分極が必要条件ではあるが十分条件ではないという仮説を支持する。また、mitophagyによる不良ミトコンドリア分解経路の障害がmtDNA動態に与える影響を検討するために、Parkin KOマウス(>50週齢)ホモ変異体の脳(frontal lobe、hippocampus、basal ganglia)と肝臓から精製したDNAを用いて、欠失mtDNA蓄積やmtDNAコピー数の変化の有無を調べた結果、それぞれ野生型およびヘテロ変異体との間に有意な差は見られなかった。これは、飼育環境下のParkin KOマウスでは、野生型マウスと同様に欠失mtDNA蓄積・ミトコンドリア機能障害発生頻度が低いためにmitophagy障害の影響が小さい可能性が考えられた。そこで、欠失mtDNA蓄積モデルである変異Polgヘテロノックイン;Parkin KO二重変異マウスを作製し、十分な欠失mtDNA蓄積が見られる週齢を待つとともに、顕著な行動異常を示さないかの経過観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における「mitophagy障害によるmtDNA動態変化の解析」についての結果は得られた。一方で、変異Polgヘテロノックイン;Parkin KO二重変異マウスは作製したものの、交配による十分な個体数が得られず、表現型の解析には至っていない。しかしながら、培養細胞を用いた実験系においてmitophagyの生理的意義に関する新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
変異Polgヘテロノックイン;Parkin KO二重変異マウスについては、解析に足る個体数を得るために交配頻度を増やし、研究計画通りに行動学的解析を行うとともに、病理学的解析によって脳機能異常やミトコンドリア機能障害について検討する。
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Research Products
(3 results)