2015 Fiscal Year Research-status Report
毛中コルチゾールおよび唾液中オキシトシンによる新たなストレス評価法の確立
Project/Area Number |
15K21314
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
林 英明 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (30405659)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ストレス / コルチゾール / 被毛 / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス負荷が毛中コルチゾール含有量に与える影響について調査するため、哺乳期のホルスタイン種ウシを用いて、除角ストレス負荷試験を行った。除角前および6時間後まで採血および唾液の採取を行い、毛の採取は除角前、7日および28日後に肩部および臀部より白色および黒色の毛を採取し、それぞれのコルチゾール含有量をELISAにより測定した。また、除角前および6時間後までの唾液中オキシトシン濃度もELISAにより測定した。 血漿中および唾液中コルチゾール濃度は除角後有意に増加した後、60分後には除角前の値まで戻り、以降も低い値で推移した。毛中コルチゾール含有量は肩部および臀部ともに白色毛においては除角7日後もしくは28日後で有意に増加したが、黒色毛は除角により変化を示さなかった。また、除角前後において血漿中オキシトシン濃度は変化を示さなかったが、唾液中オキシトシン濃度は除角後有意に増加し、10分後には除角前の値に戻った。 本実験の結果より、除角のような短期的なストレス負荷であっても毛中コルチゾール含有量に影響を与えることが明らかとなり、非侵襲的かつ安易に採取可能なストレス評価としての有効性が示された。しかし、毛色や部位間で含有量が異なることは考慮しなければならないと考えられる。また、除角ストレス負荷は唾液中オキシトシン濃度に影響を与えることが明らかとなり、ストレス評価のマーカーとしての有効性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画は概ね遂行できており、測定においても予定していた方法で計測できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、行動学的指標の違いが毛中コルチゾールに与える影響について調査するため、ウシに活動量調査用のプローブを装着し、行動学的な指標と毛中コルチゾール含有量との相関関係を明らかにする。また、飼養環境評価が毛中コルチゾール含有量に与える影響について調査するため、飼養環境の異なる酪農場の牛より毛および唾液の採取を開始する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたよりも測定試薬の購入が少なかったことと、研究打ち合わせを現地に向かわずに行ったために、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の研究で使用するプローブの購入は、当初予定していた額よりも高額になることが予想されるため、次年度使用額をその購入費に充てたうえで、研究を遂行する予定である。
|
Research Products
(1 results)