2016 Fiscal Year Research-status Report
ケト基を糖部に有するケト糖型核酸の合成法の開発とケミカルバイオロジーへの展開
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15K21451
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
實吉 尚郎 神奈川大学, 工学部, 助教 (10564784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケト基 / ポスト反応 / 核酸合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ケト基を糖部に有するケト糖型核酸の合成法の開発とケミカルバイオロジーへの展開を目指すものである。 今年度は、前年度に引き続き、ケト基となる前駆体モノマーを含む核酸の合成法の確立とポスト反応によるケト基への変換を試みた。 ケト糖型核酸前駆体は、DNA自動合成機により前駆体モノマーを組み込むことにより合成することができた。この際用いる前駆体モノマーの合成は、合成経路が確立されたため問題なく大量合成できるようになった。 得られたケト糖型核酸前駆体は、HPLCにより精製し安定な物質として合成することができた。引き続いて、酸化反応によりケト基を生成する反応を試みた。常法に従って、過ヨウ素酸ナトリウムを作用させると、速やかにケト糖型核酸に変換された。この新規核酸誘導体は、HPLC精製に耐えることがわかり、MALDI-TOF Massにより構造を決定することができた。この際、ケト基とケト基が水和されたジェミナルジオールのピークも観測された。 今後は、ケト基のポスト変換反応の検討とケト糖型核酸の構造を見るためにX線結晶構造解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ケト糖型核酸の合成法を確立することができた。第一段階のマスクされたケト糖型核酸の合成を確立し、それは安定に単離精製可能であることが分かった。引き続く、酸化反応により速やかにケト糖型核酸へと変換できることを明らかにした。この変換反応を鍵とした糖部2’位にケト基を有する核酸の化学合成は、世界で初めて達成されたものである。また、得られたケト糖型核酸は、予想以上に安定でありHPLCにより単離精製を行うことができ、MALDI-TOFにより構造を決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい核酸分子であるケト糖型核酸の潜在能力を探索すべく、種々のポスト反応を行う。 さらに、ケト糖型核酸の構造を決定すべく、結晶化を行うことによりX線結晶構造解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、主にケト糖型核酸の大量合成に時間を割いたため、予定していた予算を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、X線結晶構造解析のための試料の大量合成とケト基のポスト変換反応に必要な試薬類に使用する予定である。
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