2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Methodological Study on Textual Criticism and Establishing an Authoritative Text of Middle Korean Hankul Materials
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15K21488
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
杉山 豊 京都産業大学, 外国語学部, 助教 (50733375)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中期朝鮮語 / ハングル文献 / 杜詩諺解 / 校勘 / アクセント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、『杜詩諺解』に対し校勘を施すことによって、同文献の定本を確定すること、及び定本確定に至る方法論を確立することである。具体的には、第一段階として初刊本の伝わる巻のみを対象として相互校勘を行い(「第一次定本」作成);次に第二段階として重刊本との対校を行い、最終的に15世紀の編纂者たちの意図したものに最も近似の初刊本の姿を組み上げる(「第二次定本」作成)。 最終年度は、当初の計画では「第二次定本」の作成に充てられる予定であった。然るに、特定文献の定本を確定するに当たっては、該文献の言語的特徴の充分な把握が先行すべきである。そして、その文献の言語的特徴というものは、該文献への内的検討と同時に、同時期の諸文献との対比により明らかとなるはずである。他文献に対する考慮の必要性については、もとより研究計画の段階でも認識されていた。ところが、『杜詩諺解』初刊本と同時代の諸文献(『金剛経三家解』、『南明集諺解』等)とを見比べたところ、先行研究においては同質であるかのように論じられてきたこれら文献群の言語が、実際にははるかに多様な変種を内包していることが明らかとなった。結果、『杜詩諺解』の言語的特徴を明らかにする意味でも、1480年代の文献語全般に対する理解の必要性が増すこととなり、研究の後半は、こちらに注力せざるを得なくなった。 本年度、学会発表、もしくは論文の形で世に問うた研究成果は次の通りである。1) 『杜詩諺解』初刊本各巻における、母音調和の特徴の多様性を明らかにした。同時に、初刊本復元の根拠としての重刊本の限界にも言及している。2) 『杜詩諺解』注釈文の文体について論じた。これは、同文献編纂者の文体に対する認識を明らかにするものとして、彼らの目指した文献の姿を捉える上で有意義である。なお、以上、いずれの研究においても「第一次定本」の電子データが大いに力を発揮した。
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Research Products
(3 results)