2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノメートルサイズのMgクラスターを利用した新規低コスト水素貯蔵材料の開発
Project/Area Number |
15K21658
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浅野 耕太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創エネルギー研究部門, 主任研究員 (30415640)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 核磁気共鳴法 / クラスター構造 / Mg水素化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の研究により、Ti基質組織中にナノメートルオーダーのMgクラスターを生成させることができればMg水素化物を不安定化できることを薄膜試料を用いた実験により検証していたが、本研究ではさらなるMg水素化物不安定化のため、Crを添加したMg-Ti-Cr系粉体合金を試作した。その水素吸蔵放出性能を水素圧力(P)-水素濃度(C)等温線を測定することにより評価した結果、Cr添加により平衡水素吸蔵圧力は上昇したものの、同放出圧力に変化はほぼ見られなかった。この結果は、過去の薄膜試料を用いた実験結果を考慮すると、MgクラスターのサイズがMg水素化物の不安定化を発現するほど充分に小さくなっていない(目標1~2nmであるがおそらく現状はその数倍)ことを示している。今後は粉体合金をボールミリング法にて作製する際に条件を変えて、Mg、TiおよびCrの混合を非平衡下でよりすすめることによりMg水素化物の不安定化を目指す予定である。 また、本研究の基本材料であるMg-Ti系合金について、その重水素化物Mg-Ti-Dを作製して固体NMR法にてMgクラスター構造の生成を検出することに成功した。Mg-Ti系合金を初めにに水素化する際に温度を300℃以上などに上げ過ぎると生成するMgクラスターサイズが大きくなり、目的とするMg水素化物の不安定化効果が得られないことが分かった。また、Mg-Ti-X系の他にMg-Fe-X系水素化物の作製を試み、その構造と水素化物の安定性の関連の解明に着手した。来年度は研究計画の通り、これまでに試作した材料の構造と水素化物の安定性の関連性を明らかにしつつ、低コストの水素貯蔵材料開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画における平成27年度の計画に沿って、各種Mg系合金および水素化物の合成と構造解明等の評価実験等を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度末に計画通りデルフト工科大学(オランダ)に赴き、粉体試料のみならず薄膜試料の観点からも新規Mg系材料の探索を継続してる。さらにヘルムホルツ研究所(ドイツ)とも連携を作りイオンビームを駆使した各種材料構造評価法にて、本Mgクラスター構造の解明に着手した。平成28年度はこれらの知見も踏まえて材料試作を行う。 (次年度の研究費の使用計画) 概ね当初計画通り研究費を使用する予定である。
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Causes of Carryover |
実績報告の通り、研究は概ね順調であり、27年度予算の残額は全体の1割程度であり消耗品等の購入が一部28年度にずれ込んだことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に消耗品の購入等を研究計画に沿って進める。
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Research Products
(4 results)