2020 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞サルモデルを用いた機能回復メカニズムの統合的理解
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15K21666
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村田 弓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80512178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経可塑性 / リハビリテーション / 把握動作 / 随意運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳損傷後の機能回復メカニズムを明らかにするために、内包後脚に損傷を作成した内包損傷動物モデルを確立し、回復過程を調べた。母指と示指で小さな物体を保持する精密把握(つまみ動作)が可能な動物であるサルを対象に、第一次運動野の手領域からの下行路が通る内包後脚に血管収縮作用を持つエンドセリン-1を投与し、局所的な微小梗塞を作成した。梗塞後数ヵ月間にわたってつまみ動作の回復過程を調べた。その結果、梗塞作成後には、つまみ動作を含む手の運動に障害がみられた。また、第一次運動野に薬物による損傷を作成した脳損傷モデルを用いた研究を行った。脳損傷後の回復過程において、直径が異なる複数の孔から小さな物体を取り出すテスト課題を用いて、成功率の変化を調べた結果、成功率が上下しながら回復する傾向が認められた。損傷作成後は、親指と人差し指で物体をつまむ精密把握が困難となり、指先以外の場所で物体を把持する代償的な把握動作が多く認められていた。成功率の経過には一時的な低下と上昇を示す時期があった。この時期には損傷前に近い、指先で物体を保持する精密把握が増える傾向が認められた。このことから、成功率の一時的な低下の時期に、把握動作の戦略の変化がある可能性が考えられた。また、脳損傷作成後に、トレーニング遅延期間をもうけて、1か月間把握運動のトレーニングを行わない個体を作成し、把握運動の回復の経時的な変化を調べた。把握運動を評価する課題として、小さな穴からエサを取り出す課題を使用した。その結果、1か月のトレーニング遅延期間がある個体では、把握運動課題の成功率が損傷直後からトレーニングする個体よりも低い傾向が認められた。成功率の上昇時期の後に成功率低下の時期が生じ、トレーニング遅延なし群とは異なる傾向が観察された。また、スリットからエサを取る課題についてもトレーニング遅延による影響を調べるため、画像解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産休・育休の取得により、研究の実施が難しい時期があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
脳損傷を作成した動物モデルに対して把握動作課題を含む上肢を使った運動課題を用いて、随意運動機能の回復に関連する行動の変化や脳の変化を明らかにする。また、脳損傷後に生じる機能障害や機能回復に関わる神経細胞内の変化を組織学的な手法や薬理学的手法を用いて明らかにする。さらに、脳損傷後の回復過程における運動学習の影響について数理学的な計算モデルの手法を用いて調べる。運動トレーニングなどによる介入によって脳損傷後の脳における機能回復がどのような影響を受けるかについて調べる。
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Causes of Carryover |
産休・育休のため、研究を実施することが難しい期間があったため。予定よりも物品購入や旅費の使用が少なかったため。来年度は、実験および解析を進めるために必要な物品の購入や結果の発表等に必要な経費として使用する。
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Research Products
(1 results)