2023 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated understanding of functional recovery mechanisms using a monkey model of cerebral infarction
Project/Area Number |
15K21666
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
村田 弓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80512178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経可塑性 / リハビリテーション / 把握動作 / 随意運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳損傷後の機能回復メカニズムを明らかにするために、内包後脚に損傷を作成した内包損傷動物モデルを確立し、回復過程を調べた。母指と示指で小さな物体を保持する精密把握が可能な動物であるサルを対象に、第一次運動野の手領域からの下行路が通る内包後脚に血管収縮作用を持つエンドセリン-1を投与し、局所的な微小梗塞を作成した。梗塞後数ヵ月間にわたってつまみ動作の回復過程を調べた。その結果、梗塞作成後には、つまみ動作を含む手の運動に障害がみられた。また、第一次運動野に薬物による損傷を作成した脳損傷モデルを用いた研究を行った。脳損傷後の回復過程において、直径が異なる複数の孔から小さな物体 を取り出すテスト課題を用いて、成功率の変化を調べた結果、成功率が上下しながら回復する傾向が認められた。損傷作成後は、親指と人差し指で物体をつまむ精密把握が困難となり、指先以外の場所で物体を把持する代償的な把握動作が多く認められていた。成功率の経過には一時的な低下と上昇を示す時期があった。この時期には損傷前に近い、指先で物体を保持する精密把握が増える傾向が認められた。このことから、成功率の一時的な低下の時期に、把握動作の戦略の変化がある可能性が考えられた。また、把握動作中の指の動きの解析から、小さな物体をつまむ動作を成功させるためには、母指と人差し指を協調・連携させてタイミングよく動かすことが必要で、回復過程においては把握方法を試行錯誤のように少しずつ調整して変化させていくような様子が見受けられた。以上の結果を、今後学会発表や論文として報告する。
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