2018 Fiscal Year Research-status Report
画像処理技術と生物光学を融合した新型海洋一次生産者別基礎生産算出アルゴリズム(国際共同研究強化)
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15KK0020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 貴文 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特任准教授 (80576231)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 海色 / リモートセンシング / 植物プランクトン / サイズ / 多様性 / 一次生産 / 基礎生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
衛星からの植物プランクトン群集別のサイズ多様性の推定技術において、植物プランクトン群集別の色素換算生物量を推定は本質的である。そこで、大西洋で観測されたハイパースペクトル放射の現場データを用いた解析を行い、植物プランクトン群集の色素生物量推定の改善の可能性を、Astrid Bracher教授との共同研究として解析した。共同研究は、当方が先方へ8月から9月にかけて渡航することで行った。解析には、共同研究相手先が既存の技術として持つ解析手法を利用した。解析の結果、ハイパースペクトルデータが植物プランクトンの分類に有効であるという結果は支持された。一方で、その有効性の度合いについてさらなる詳細な解析をした結果、共同研究に先んじて当方が開発した全く異なる技術と、原理的には同様であることが示唆された。結果として、ハイパースペクトルデータにより群集構造推定の改善が顕著に認められるとは限らないことが示唆された。 以上の共同研究結果を踏まえて、昨年度までに当方の技術を応用して開発した植物プランクトン群集別の粒径サイズ多様性 アルゴリズムにさらなる改善の余地は小さいと現状では考え、昨年度にそのアルゴリズムを用いて整備したサイズ多様性の衛星データセットの解析を継続した。その結果、これまで、全球観測に欠いた現場観測からは、ピコ(< 2um)、ナノ(2-20um)、マイクロ(>20um)サイズに分けられることが慣例であったが、全球をカバーした衛星データによれば (i) <2um, (ii) 2-10um, (iii) >10umがより妥当であることが示唆された。さらに、我が国周辺海域に対し、これらのデータと基盤課題で得られた一次生産速度の衛星データと共に解析した結果、細胞サイズが大きくになるにつれ、一次生産が増加する傾向が、珪藻、ハプト藻、および藍藻について、それぞれ見られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
渡航先で共同研究する予定であった研究者(Astrid Bracher教授)が、年度予定計画後に、研究航海に参加することになり、当方の渡航時期調整の結果、今年度の渡航期間が短縮した。結果として、渡航先で共同研究として行うはずであった内容を縮小したため、研究計画に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度も、これまで共同研究を実施してきたドイツ側研究者と引き続き共同研究を実施する。特に、これまで衛星データと現場データの解析を中心に行ってきたが、数値モデルの結果も導入することで、当初の目的であった多元的データ(現場、衛星、モデルのデータ)の解析を行う。特に、数値モデルによる結果と衛星データ解析の結果を比較することにより、植物プランクトンの細胞サイズ多様性と基礎生産との間の関係に関する科学的知見を確認、補強、または改定する。また、それら成果の論文化を行う。
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