2016 Fiscal Year Research-status Report
内生的かつ動的な社会・経済システムにおける主体の意思決定・行動にかんする研究(国際共同研究強化)
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15KK0123
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 隆志 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (90401570)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | マルチエージェント実験経済学 / モデリング / 意思決定 / 学習 / 異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lowest Unique Integer Game (*1) の被験者実験を関西大学で実施した。この実験では、各ラウンドで被験者に1から上限までの数字への重みを入力させてランダムに選ばれた一数字を自らの手として勝敗を決めるもので、以前の実験のような各ラウンドで一つの数字を選ぶものとは異なり、どのように戦略を混合させるのかという具体的なプロセスを観察できる。このような実験を一グループの人数が三人と四人のゲームについて実験と分析を行った。一般的な結果は以下の通りである: まず、被験者は小さい数字ほどより多くの重みを与える。しかし、これはゲームの勝敗には依存しない。次に、被験者が与える重みと混合戦略均衡とのユークリッド距離はラウンドが進むにつれて大きくなる。これは Bloomfield (1994) で報告された結果を支持している。さらに、被験者の入力とその変動パターンは混合戦略均衡とのユークリッド距離(長い or 短い)とラウンド間のユークリッド距離(長い or 短い)の二尺度によって四通りに分けられた。特に、双方のユークリッド距離が短い被験者がどちらの設定でもおよそ三分の一ずつ存在することが確認され、以前の実験では正確確認されなかった混合戦略均衡に近い行動をするプレイヤこのゲームで存在することが示された。また、行動と勝った回数との関係では、混合戦略均衡からは離れた入力をし、勝敗にかかわらず重みを変化させないプレイヤがより勝つことが確認された。 *1: N 人のプレイヤが存在し、M 以下の正の整数を提出し、他の誰も考えていない最も小さな整数を考えたプレイヤが勝つゲーム
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際共同研究強化は当該年度末から実質的に動き出したため、評価は難しい。けれども、予備的な実験からプレイヤの行動が明確に分類できることがわかり、今後の実験と発展的・拡張したゲーム設定での実験への展望を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
・Lowest Unique Integer Game の本実験を行うと同時に、他のゲーム設定(Swedish Lottery と Lowest Unique Bid Auction)の実験準備を行う。
・Poisson Game を含めた関連研究から経済主体による系への参入と退出のモデリングを進める。
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