2016 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ特異的タンパク質AIMによる犬組織球性肉腫の発症機序の解明と治療(国際共同研究強化)
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15KK0275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 智洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10433715)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | がん免疫 / 獣医学 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの組織球性肉腫は、マクロファージを由来とする腫瘍で、発症のメカニズムも効果的な治療法も明らかになっていない。これまで応募者は、マクロファージに特異的に発現するタンパク質である Apoptosis inhibitor of macrophage (AIM) に着目して研究をおこなってきた。その結果、AIMをイヌ組織球性肉腫細胞株に強制発現すると細胞増殖や異形成化(M2型化)が抑制されること、逆にAIMをノックダウンするとこれらが促進されることを見出した。この成果の応用に重要であると考えられる腫瘍関連性マクロファージ(TAM)は、周辺環境に応じて様々な物質を産生・分泌し、腫瘍細胞の増殖に適した微小環境を構築する細胞である。その性質を変えずに単離培養、研究を行うには専門的な知識と熟練した手技が必要である。そこで本研究では、TAMの第一人者であるMoffitt Cancer Center研究員のDr. Brian Ruffellと共同で研究を進めることとした。 応募者は本年度10月よりDr. Ruffell Labに常駐し、各タイプのマクロファージの分化・機能に関わる単離・培養技術および分子生物学的基盤を習得した。彼の持つTAMに関する実験系と応募者のAIM研究成果を用いて、AIMのTAMに対する作用を明らかにし、長年の謎だった様々な腫瘍におけるTAMの増殖・分化の誘導メカニズムの解明、ひいてはTAMの関係する様々な腫瘍の治療法の確立に発展させているところである。現在、各種マクロファージのAIM発現 ヒト、イヌ、マウスにおけるマクロファージおよび様々な腫瘍組織を採取し、生体内におけるマクロファージの種類とAIMの発現の違いを明らかにすることに成功した。また、AIM強制発現/発現抑制した際のマクロファージの分化・機能解析 マクロファージ培養系にAIM発現ベクター、AIM siRNA、組換えAIMなどを処置し、その後の増殖/分化を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10月から3月にかけて代替教員を雇い入れ、申請者はMoffitt cancer centerにて研究にまい進し、一定の成果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
実験③ 各種阻害剤を用いたAIMのシグナル伝達経路の解明 AIMを処置したマクロファージ培養系に、各伝達経路の阻害剤や膜タンパク質の阻害剤を処置し、AIMの作用機序を調べる。 実験④ 各種モデルマウスにおけるAIMの抗腫瘍作用 TAMを豊富に持つ腫瘍発症マウス(MMTV-PyVT)や腫瘍細胞を播種したヌードマウスにAIMを投薬し、AIMの抗腫瘍効果を検討する。
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Research Products
(6 results)