超百寿者由来iPS細胞を用いたストレス耐性機構の解明と疫学的検証

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15KT0009
• Research Institution: Keio University
• Principal Investigator: 新井 康通 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20255467)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 石崎 達郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, その他 (30246045) ; 権藤 恭之 大阪大学, その他の研究科, 准教授 (40250196) ; 神出 計 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80393239) ; 湯浅 慎介 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90398628) ; 中岡 博史 国立遺伝学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70611193)
• Project Period (FY): 2015-07-10 – 2018-03-31
• Keywords: iPS細胞 / 健康長寿 / コホート研究 / 遺伝多型

Outline of Annual Research Achievements

プロジェクト１では湯浅、新井が超百寿者由来iPS細胞株とコントロールiPS細胞3株から血管内皮細胞に分化し、様々なストレス状況下で、マトリゲル上でtube formationの形成能を指標とした実験系を確立した。過酸化水素添加や高血糖不可では超百寿者、コントロール細胞では有意な差は認められなかったが、低酸素刺激下ではtube formationの形成は抑制されたが、コントロール細胞に比べ、超百寿者由来血管内皮細胞でtube formationの抑制の度合いが少なかった。さらに、中岡との共同により低酸素不可前後のRNA seq解析を行い、超百寿者とコントロールでＲＮＡ発現を比較した。非負値行列因子分解にてクラスター分類したところ、低酸素負荷前後の差よりも個人間の発現パターンの影響が強いことが分かった。現在、個人間の補正を加味した解析を検討している。
プロジェクト２では大阪大学、東京都健康長寿医療センター、および慶應義塾大学が共同で東京、大阪(それぞれ都心部と農村地区）の地域コホートであるSONIC(Septagenarian, octogenarian, nonagenarian, investigation with centenarian)研究を推進した。今年度は70歳、80歳の遺伝子抽出、および90歳の追跡調査をおこなった。本研究によるiPS細胞実験からの候補遺伝子は未同定であるが、動物モデルから長寿との関連が報告されているFOXO3A遺伝子多型を解析し、血圧との関連を報告した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

第一に本研究課題の重要な段階であるiPS細胞からの血管内皮細胞への分化、およびストレス抵抗実験に携わる人的資源（経験のある研究補助員）のリクルートに予想以上に時間がかかった点。第二に血管内皮細胞でのストレス抵抗性実験に使用していたiPS細胞に染色体異常を起こしていたものが見つかり、新しいiPS細胞の樹立がひつようとなったため。しかし、現時点では新しい研究補助員によるiPS細胞管理体制が確立し、実験も順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

本年度はプロジェクト1については、iPS細胞の株数を増やし、最終的にRNA seqで候補遺伝子を絞る過程まで研究を進める。昨年度の実験から、ストレス負荷前後のRNA発現は個人のもともとのRNA発現プロファイルにより、かなり規定されることが分かったので、これを補正するべく混合栓系モデルによる解析を進める。
ＳＯＮＩＣ研究について追跡調査は順調に進んでおり、90歳の遺伝子抽出、および認知機能、動脈硬化、サルコペニアなど老化形質のデータクリーニングを行い、候補遺伝子が同定されればQTL解析を行えるデータベースを確立する。

Causes of Carryover

iPS実験に中心的にかかわる実験補助員の交代があり、また特殊な細胞培養技術を必要とする職種のため、新しい実験補助員の任用に時間がかかったため、また実験に用いたiPS細胞のうち、染色体異常を持つものが明らかになったため、実験に使用できる細胞株が減ったため、おもに人件費、試薬代に未使用金が発生した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

あらたな実験補助員が定着し、またあらたなiPS細胞の樹立も順調なため、今年度と来年度で遅れた分の実験を加速して行う。

Research Products

• [Int'l Joint Research] Ｕｎｉｖｅｒｓｉｔｙ ｏｆ Ｈａｗａｉｉ/Ｈａｖａｒｄ Ｍｅｄｉｃａｌ Ｓｃｈｏｏｌ (米国)
  • Country Name: U.S.A.
  • Counterpart Institution: Ｕｎｉｖｅｒｓｉｔｙ ｏｆ Ｈａｗａｉｉ/Ｈａｖａｒｄ Ｍｅｄｉｃａｌ Ｓｃｈｏｏｌ
• [Journal Article] Association Analysis of FOXO3 Longevity Variants With Blood Pressure and Essential Hypertension. (2016)
  • Author(s): Morris BJ1, Chen R2, Donlon TA2, Evans DS3, Tranah GJ3, Parimi N3, Ehret GB4, Newton-Cheh C5, Seto T6, Willcox DC7, Masaki KH8, Kamide K9, Ryuno H10, Oguro R11, Nakama C11, Kabayama M10, Yamamoto K11, Sugimoto K11, Ikebe K12, Masui Y13, Arai Y14, Ishizaki T13, Gondo Y15, Rakugi H11, Willcox BJ8.
  • Journal Title: Am J Hypertens. Volume: in press Pages: in press
  • DOI: 10.1093/ajh/hpv171
  • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
• [Journal Article] Differences in the association between high blood pressure and cognitive functioning among the general Japanese population aged 70 and 80 years: The SONIC study. (2016)
  • Author(s): Ryuno H, Kamide K, Gondo Y, Nakama C, Oguro R, Kabayama M, Kawai T, Kusunoki H, Yokoyama S, Imaizumi Y, Takeya M, Yamamoto H, Takeda M, Takami Y, Itoh N, Yamamoto K, Takeya Y, Sugimoto K, Nakagawa T, Ikebe K, Inagaki H, Masui Y, Ishizaki T, Takayama M, Arai Y, Takahashi R, Rakugi H.
  • Journal Title: Hypertens Res Volume: in press Pages: in press
  • DOI: 10.1038/hr.2016.25.
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Lower Protein Intake Mediates Association Between Lower Occlusal Force and Slower Walking Speed: From the Septuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians Study. (2015)
  • Author(s): Okada T, Ikebe K, Kagawa R, Inomata C, Takeshita H, Gondo Y, Ishioka Y, Okubo H, Kamide K, Masui Y, Takahashi R, Arai Y, Thomson WM, Maeda Y.
  • Journal Title: J Am Geriatr Soc. 2015 Nov;63(11):2382-7 Volume: 63 Pages: 2382-2387
  • DOI: 10.1111/jgs.13784.
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Disease-associated polymorphisms in 9p21 are not associated with extreme longevity. (2015)
  • Author(s): Congrains A, Kamide K, Hirose N, Arai Y, Oguro R, Nakama C, Imaizumi Y, Kawai T, Kusunoki H, Yamamoto H, Onishi-Takeya M, Takeya Y, Yamamoto K, Sugimoto K, Akasaka H, Saitoh S, Miura T, Awata N, Kato N, Katsuya T, Ikebe K, Gondo Y, Rakugi H.
  • Journal Title: Geriatr Gerontol Int. 2015 Jun;15(6):797-803 Volume: 15 Pages: 797-803
  • DOI: 10.1111/ggi.12346
  • Peer Reviewed / Int'l Joint Research