2018 Fiscal Year Research-status Report
スラブ・ユーラシアにおける分離主義紛争の総合的比較研究
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15KT0048
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30366976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (20431348)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 教授 (50580776)
森 聡 法政大学, 法学部, 教授 (60466729)
前田 弘毅 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2020-03-31
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Keywords | 分離主義紛争 / ウクライナ / セルビア / グルジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、欧米とロシアが深く関与するスラブ・ユーラシア地域の分離主義紛争の3つの事例であるグルジア(アブハジア、南オセチア問題)、セルビア(コソヴォ問題)、ウクライナ(クリミア、ドンバス問題)について、地域内のアクターと欧米・ロシアを中心とする外部アクターの相互作用を双方の視点から分析し、3つの事例を共通の枠組から比較することである。本年度は、これまでに収集した資料を用い、適宜追加の現地調査・資料収集を実施しつつ、森が米国の外交政策、妹尾がドイツを中心とするEUの外交政策、大串がロシアの外交政策およびウクライナとドンバスの内部情勢、前田がグルジア、アブハジア、南オセチアの内部情勢、久保がセルビアとコソヴォの内部情勢について分析を進めた。また、3つの事例の比較のための研究会を開催し、比較のための分析枠組について研究代表者・分担者全員で議論・検討を行なった。3つの事例の分析から明らかになってきていることは、分離主義を掲げる地域のアクターが、米国やロシアといった大国を紛争に巻き込むために様々な戦略を取っていることである。これらの事例では米国やロシアといった大国の介入、外交政策が注目され、分離を主張する勢力はその客体と見なされがちであるが、大国の外交政策は必ずしも当初から一貫したものではなく、紛争地域のアクターの行動によって変化し、大国の外交政策の変化が現地のアクターの関係性に変化を及ぼすといった相互作用が見られる。分離を主張する地域の内部のアクターも決して一枚岩ではなく、その内部の主導権争い、アクター間の関係性が紛争の進展に影響を及ぼすことが明らかになってきている。平成31年度はこうした視座から3つの事例の比較分析を進め、共著の論文や著書の執筆を目指して研究を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各事例に関する資料の収集と分析は概ね順調に進展してきており、そうした資料を用いた研究業績の公刊も進んでいる。3つの事例の比較分析のための作業も進んでおり、比較のための分析枠組についても本年度の研究会での議論、検討によって固まってきつつあり、3つの事例の比較分析を行なって、共著で論文もしくは書籍を執筆するための準備作業は整ってきていると言える。以上の理由から、概ね順調に進展してきていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成31年度は、共著での論文もしくは書籍の執筆を進めることが最も重要な課題となる。そのためには代表者と分担者で相互に緊密に連絡を取り合い、意見交換の場を着実に設定して、分析と執筆の作業を進めていくことが必要である。特に重大な障害が発生するような状況は想定していない。研究の着実な進展と成果の公刊に向けて最大限努力していきたい。
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Research Products
(13 results)