2015 Fiscal Year Research-status Report
超高齢者フレイル対策の提言に資する国際比較共同研究
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15KT0091
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高山 美智代 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20255467)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 超高齢者 / 健康長寿 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都心部在住の85歳以上の高齢者を対象にしたコホート研究、The Tokyo Oldest Old Survey on Total Health(TOOTH)は、平成20年度に開始した高齢者の健康状態や暮らしぶりに関する包括的な学術調査で、継続して3年ごとに追跡調査を行っている。調査項目は、健康状態、病歴、身体計測、口腔機能、認知機能、栄養調査、体組成、血液・尿検査などである。 平成26年度は、6年後の追跡調査(第3次健康調査)を行った。平成21年度に第1次健康調査に参加した363名のうち、118名は死亡、52名は追跡不能(脱落)であった。第3次健康調査への調査協力の同意が得られたのは163名であった(45%)。平均年齢93.1歳と高齢であるため、来院できない調査協力者には訪問調査をおこなった。 主な死亡原因は、悪性腫瘍、心血管疾患(突然死含む)、肺炎、末期認知症であった。 総死亡に関連する要因をコックス比例ハザードモデルで検討した結果、単変量解析では、年齢、性別、Barthel Index、MMSE、BMI、握力、ALB、CRP、慢性疾患数がそれぞれ有意に関連した(P < 0.05)。多変量解析では、年齢、性別、MMSE、BMI、握力、血清ALBが有意に総死亡に関連する因子として抽出された。すなわち、高齢、男性、認知機能低下、やせ、握力低下、低栄養は6年間の総死亡リスクと関連していた。 以上の結果から、健康長寿にはフレイル予防が特に重要であることが示唆された。 海外の超高齢者研究と比較共同研究を計画しており、フレイル予防に関係が深い口腔機能や栄養状態に関して、イギリスニューカッスル大学と共同研究を推進中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TOOTHの6年後調査に関しては、ほぼ計画通りに遂行できた。現在、データベースの整理を行っている。 また、国際比較共同研究として日本(TOOTH)と英国(Newcastle85+)の超高齢者コホート研究のデータベースの統合を計画していたが、こちらは予定より遅れている。 口腔機能と栄養に着目してデータベースを調べたところ、口腔機能の調査項目が偏っていることや食習慣の違いを無視できないことなどから、容易には統合できないことが判明した。 以上より、進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
TOOTHの6年後追跡調査の結果から、ほとんどの方が身体機能、認知機能の低下を認める中で、90歳を過ぎても高い認知機能を維持している方がいることが明らかとなった。認知機能の維持は、フレイル予防に極めて重要であり、生活習慣(知的活動、身体活動、栄養調査など)との関連に興味がもたれる。また、脳の構造に関する評価も重要であると考えられる。そこで、特に認知機能の優れた方に脳MRI検査を追加して行うことを計画している。
日本(TOOTH)と英国(Newcastle85+)の超高齢者コホート研究のデータベースの統合は、包括的に統合するのは困難であることが判明したため、項目を絞るなど工夫が必要である。現在、口腔機能と健康状態のデータ統合を進めている。 2017年開催予定の国際老年病学会(IAGG)で合同シンポジウムを計画している。
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Causes of Carryover |
TOOTH6年後の第3次健康調査を実施するにあたって、参加者の多くが来院困難であったため、半数以上が往診調査となった。その結果、調査補助員などの人件費が予定より少なくなった。
日英国際比較共同研究の合同会議が英国で開催されたが、開催時期が助成金開始前であったため、旅費などが少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TOOTH6年後調査の結果から、特に認知機能が高い高齢者の脳MRI検査を予定している。 その調査費用(MRI検査費用、交通費、調査協力者謝金、調査補助員人件費など)に使用する。 次年度以降、英国との合同会議または国際学会での合同シンポジウムを予定しており、旅費などに使用する。
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Remarks |
webページは現在作成中。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Carotid atherosclerosis, cytomegalovirus infection, and cognitive decline in the very old: a community-based prospective cohort study.2016
Author(s)
Kawasaki M, Arai Y, Takayama M, Hirata T, Takayama M, Abe Y, Niimura H, Mimura M, Takebayashi T, Hirose N.
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Journal Title
Age (Dordr)
Volume: 38(2)
Pages: 29
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Inflammation, But Not Telomere Length, Predicts Successful Ageing at Extreme Old Age: A Longitudinal Study of Semi-supercentenarians.2015
Author(s)
Arai Y, Martin-Ruiz CM, Takayama M, Abe Y, Takebayashi T, Koyasu S, Suematsu M, Hirose N, von Zglinicki T.
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Journal Title
EBioMedicine
Volume: 2(10)
Pages: 1549-1558
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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