2004 Fiscal Year Annual Research Report
メンブレントラフィック経路のスイッチによるNotch受容体の選択的な活性化機構
Project/Area Number |
16044243
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松野 健治 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (60318227)
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Keywords | Notch / Deltex / エンドサイトーシス / 後期エンドソーム / メンブラントラフィック / 細胞シグナル / γ-セクレターゼ / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
多細胞生物の発生では、細胞間の相互作用が重要な機能をはたしている。細胞間の相互作用のなかでも、Notch受容体(Notch)を介する情報伝達系(Notch情報伝達系)は、細胞と細胞の直接的な接触を介した細胞間情報伝達で機能している。我々は、Notch情報伝達が、下流エフェクターであるSuppressor of Hairless [Su(H)]依存的な経路と、Su(H)非依存的な経路に二分岐していることを明らかにしている。前者では、Notchの活性化は細胞膜で起こり、後者では、Notchは、後期エンドソームに輸送・蓄積されて活性化を受けるらしい。我々は、Notchが輸送されるメンブレントラフィック経路の選択的スイッチによって、Su(H)に依存的な経路とSu(H)非依存的な経路の二者択一な下流シグナル経路の使い分けが起こっていると考えている。 細胞外ドメインを欠いたNotch (N・EC)は、Su(H)依存的経路を恒常的に活性化する。N・ECによるSu(H)依存的経路の活性化は、ドミナント・ネガティブ型Rab5によって抑制されなかった。一方、E3ユビキチンリガーゼであるDeltexは、Notchを後期エンドソームに蓄旨させ、Su(H)非依存的経路を活性化させるが、この経路の活性化は、ドミナント・ネガティブ型Rab5によって完全に抑制された。この結果から、Su(H)依存的経路におけるNotchの活性化は、細胞膜から初期エンドソームに移行するまでの過程で起こり、これに対して、Su(H)非依存的経路の活性化は、Notchが後期エンドソームに蓄積されて起こると考えられた。また、メンブレントラフィック経路におけるNotchのソーティングで機能している遺伝子を、網羅的RNA干渉法を用いて検索するための実験系を確立しており、現在、スクリーンの準備を行っている。
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