2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16073217
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梅沢 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
|
Keywords | 癌 / 生理活性 / シグナル伝達 / 微生物 / 有機化学 |
Research Abstract |
1)NF-κB阻害剤(-)-DHMEQによる非小細胞肺癌細胞のE-cadherin発現増強:E-cadherinは上皮細胞間接着因子で、その発現低下によって癌細胞の細胞間接着能が低下し転移が促進される。NF-κB阻害剤(-)-DHMEQはE-cadherinの発現を増強し、細胞間接着能の低下を抑制することを見出した。その機構としてE-cadherinの抑制性転写因子の発現を低下させることが示唆された。2)(-)-DHMEQによるmatrix metallo proteaseの発現抑制:昨年度までにDHMEQは癌細胞のVEGF-C発現を抑制することを見出した。今年度、(-)-DHMEQは乳癌細胞において浸潤に重要なMMP-9、MT1-MMPの発現を抑制し、in vitro浸潤能を低下させることを見出した。3)conophyllineによる膵β細胞の分化誘導と新しい活性:Ervatamia microphylla蜘の葉から抽出されるconophyllineは膵β細胞の分化誘導作用に加えてマクロファージ活性を阻害する新しい作用を発見した。conophyllineは、マクロファージの産生する炎症誘起物質を抑制することでも2型糖尿病を抑制する作用があることが示唆された。4)conophyllineの標的分子の探索:conophyllineはβ細胞の分化誘導のほか、抗癌活性などが知られているが、標的分子はわかっていない。そこでconophyllineをbaitとするfishing rod and stringをつくって細胞抽出液から特異的に結合するタンパク質を探索した。Conophyllineのアミン体をlinkerのついたlatex nano beadsに結合させることでconophyllineを固定化した。これを用いてconophylline感受性細胞の抽出物から結合分子を探索したところ、特異的に結合する既知タンパク質ARL6ipが同定された。このタンパク質のcDNAをクローンして、組換え体として大量に調製し、conophyllineとの物理的な相互作用を確認した。結合してからのconophyllineの機能に与える活性も解析した。
|