2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16081204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 宏 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (80178574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 富雄 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (50126059)
真下 哲郎 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (60181640)
浅井 祥仁 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (60282505)
吉田 肇 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (10111775)
田中 覚 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60251980)
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Keywords | ヒッグス粒子 / 超対称性 / 最高エネルギー / 衝突型加速器 / データグリッド技術 / 広域分散解析 / 事象再構成 / 検出器シミュレーション |
Research Abstract |
ヒッグス粒子を発見し、質量の起源を探ることは素粒子物理学の緊急かつ重要な課題であり、2007年実験開始予定のアトラス実験で、ヒッグス粒子の発見が約1年の実験で可能であることをこれまで示してきた。2004年度は、これらの研究を更に推し進め、より実験に近い環境での研究を進めた。 (1)Full simulationを用いて、τ識別の研究やミッシングエネルギーの測定の研究を行った。τの選定で重要になるのが、アイソレーションの条件であり、ノイズ・パイルアップの寄与と、低いエネルギーを持ったハドロンの寄与を分離する方法の研究を行い、高いτ識別効率を持つ解析アルゴリズムを開発した。 (2)より現実的にバックグランドを評価し、また2007年に実験データを用いてバックグランドを評価する方法を確立する研究を進めた。終状態に3-6体のパートンを含む高い次元のQEDの予言を取りこんだバックグランド評価を、世界に先駆けて行った。この結果、従来予測していたよりバックグランドが多くなる可能性が示された。これは、ヒッグスばかりでなく、超対称性研究にも重要な成果であった。 (3)アトラス実験でヒッグスを研究で重要になるのが湯川結合の測定である。B-quarkの湯川結合を測定する新しいチャンネルの研究を進めてきた。 このような物理解析をおこなう計算環境に関する研究開発を進めてきた。最新のIT技術であるコンピューティンググリッドを用い、大量のデータ処理を分散環境下でおこなう実証試験を各国の解析センターと共同で進めてきた。欧州日本間ではネットワークパケットが往復するために約300ミリ秒もかかる。このような極端な環境で効率的・持続的にデータ転送をおこなう方法を確立した。 解析の精度を上げるため、また測定器の更新に必要となる情報を得るため、検出器の基礎研究も行ってきた。
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