2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16081204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 宏 The University of Tokyo, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (80178574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 富雄 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (50126059)
真下 哲郎 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (60181640)
浅井 祥仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60282505)
上田 郁夫 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (70292836)
金谷 奈央子 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (80418780)
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Keywords | 陽子陽子衝突型加速器 / エネルギーフロンティア / ヒッグス粒子 / 超対称性粒子 / 分散解析 / コンピューティンググリッド / 国際研究者交流 / スイス |
Research Abstract |
平成20年度には短期間ではあるが衝突実験によるデータが収集され、また長期間にわたって宇宙線データを取得した。これらのデータの詳細な解析により、平成21年に開始される本格的な衝突実験のデータ解析を効率的に進めるための準備研究を行ってきた。特に実験開始時は検出器の理解が重要な課題となる。宇宙線データから読み取れる検出器の雑音信号を詳細に評価し、補正できるものは補正する。特に新物理発見のために重要となるエネルギー欠損を正確に算出するためには、検出器の不感分の特定、特徴的パターンで発生する雑音の除去などが必要である。カロリメータのノイズの分析を行い、微弱であるが広く分布する電気的雑音のデータからの除去の方法を確立した。またカロリメータのデッドチャンネル周辺の信号処理において、デッドチャンネルの存在によるエネルギー評価のずれの補償を導入し、より正確にエネルギー欠損を得ることができるようになった。これらの成果はアトラスの標準解析ソフトウエアに正式に組み込まれている。 アトラス実験解析網の整備も進んでいる。CERNで取得されたデータはコンピューティンググリッドを経由して、世界各国の解析センターに送られる。共同研究者はグリッドツールを用いてそのデータが世界のどこにあるかを気にすることなく、同時に数千のジョブを投入して解析し、直ちに結果を得ることができるようになるのが理想である。そのためには各地の解析センターが安定に稼働し、国際ネットワークを通してよどみなくデータ転送が行われる必要がある。平成20年度には繰り返しグリッド上での解析とデータ転送の演習を行った。その結果、衝突実験のデータについてもよどみなく東京まで届いていることが確認できた。日本国内の解析インフラはいつ衝突実験が開始されてもよい状態まで整備されている。
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