2006 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論のコンパクト化に基づく標準模型へのアプローチ
Project/Area Number |
16081206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 徹 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (20151970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 克司 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60221769)
菅原 祐二 東京大学, 助手 (70291333)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称性 / ゲージ理論 / D-ブレーン / 共形場理論 |
Research Abstract |
超弦理論において素粒子模型として有望な超対称フラックス真空は、モジュライ空間上において特異カラビ・ヤウ空間の近傍に多く存在することが知られており、また世界面上の共形場理論の見地からは、多くの未解決問題を含むという意味においても、特異カラビ・ヤウ空間上の超弦理論は重要性を持つ。江口と菅原は、非コンパクト特異カラビ・ヤウ空間に対し、超弦理論における重要な物理量である楕円種数の代数的構造を調べ、位相不変量として望ましいΓ(2)不変なcompletionについて論じた。特に、ALE空間の改善された楕円種数を提案した。さらに、深く関連する共形場理論の問題として、N=4超共形代数の指標やアッペル関数の性質を詳細に調べ、そのΓ(2)不変completionを明らかにした。 伊藤は、超弦理論におけるDブレーン上の低エネルギー有効理論である超対称ゲージ理論へのRamond-Ramond背景場の効果について、場の理論および超弦理論の見地から研究を行い以下の新しい結果を得た。(1)R-R背景場の中で特に重力光子による背景場は,Dブレーンの世界超空間上において非反可換性として現れる。N=2およびN=4超対称ゲージ理論における重力光子背景場による変形効果を超弦理論により計算し、最低次で非反可換超空間の計算と一致することを示した。(2)R-R背景場を分類し非反可換超空間で表せない新しい変形が存在することを示した。(3)非反可換N=2超対称ゲージ理論において非反可換性の量子効果が超対称代数の変更として現れることを示した。 菅原は、NS5ブレーンや2次元ブラックホール背景中を運動するD-ブレーンに対する開弦の1ループ振幅を厳密に解析した。注意深い解析接続を用いることで、Lorentzian signatureでは非自明な、開弦-閉弦のchannel dualityとユニタリティ(光学定理)のconsistencyを示すことに成功した。
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