2008 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論のコンパクト化に基づく標準模型へのアプローチ
Project/Area Number |
16081206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 徹 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (20151970)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称性 / ゲージ理論 / D-ブレーン / 共形場理論 |
Research Abstract |
1. 江口はN=4の超共形代数の表現を調べた。特に弦理論で超重力理論に現れる場を記述するmassless表現が良いモジュラー変換性を持たない困難について、mock theta関数(モジュラー変換性の悪いデータ関数)に関して最近数学者が開発した方法を用い、良い変換性を持つ物に作り替えることを組織的に調べた。この方法を用いる事により高い次元のハイパーケーラー多様体の楕円種数も求めることができる。 また、K3曲面の場合に楕円種数をN=4の表現に分解し、これに含まれる無限個のmassive表現の展開係数をRademacher, Bringmann-Onoの方法を用いて完全に決定した。 以下の論文を出版予定である。 (1) "Modular Forms and Elliptic Genera for ALE Spaces", Tohru Eguchi, Yuji Sugawara, and Anne Taormina, Advanced Studies in Pure mathematics 2009 (2) "Superconformal Algebras and Mock Theta Fllnctions "Tohru Eguchi and Kazuhiro Hikami, Journal of Physics A, 2009 2. 伊藤は, D3-D(-1)ブレーン系における定数R-R3形式場の効果を調べ、それがN=2超対称ヤンミルズ理論の非摂動効果を調べる際に重要なNekrasovによるOmega背景場の効果と同じとなることを発見し,超弦理論から場の理論の非摂動効果を導出する単純な定式化を見いだした。さらにN=4超対称ヤンミルズ理論におけるグルーオン散乱振幅をゲージ/重力対応を用いて計算し, 有限温度における散乱振幅の性質さらに極小曲面を数値的に計算することにより, これまで解析的に求めることが困難だった多点関数の諸性質を明らかにした。 3. 宇宙項問題は素粒子論および宇宙論における大きな問題の一つであり超弦理論によって解明されなければならない。菅原は、超弦理論の非幾何学的コンパクト化の一種である非対称オービフォルドを用い、超対称性を破りながら宇宙項が消えている新しい模型の構成を、D-ブレーンが存在する場合しない場合の双方で論じた。
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