2009 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論のコンパクト化に基づく標準模型へのアプローチ
Project/Area Number |
16081206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 徹 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (20151970)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称性 / D-ブレーン / 共形場理論 / 楕円種数 / 超対称ゲージ理論 / ブレーン / カラビヤウ多様体 |
Research Abstract |
1. 江口は、N=4、N=2超共形代数の表現論を用いてハイパーケーラー多様体、カラビ-ヤウ多様体の幾何学を調べ、これらの多様体の楕円種数の規約表現分解を導いた.規約表現分解は非BPS表現については無限和の形を持つが、その展開係数A_nが表現の共形次元nと共に指数関数的に増大する事、特に2k次元のハイパーケーラー多様体についてはA_nがexp(2π√<kn>)の用に振る舞い、D1D5ブレーンがK3曲面に巻き付いて出来るブラックホールのエントロピーの振る舞いと一致する事を示した[論文1,3,4]. 江口はまた、Alday, Gaiotto,立川によって提唱された、4次元N=2共形不変ゲージ理論と2次元リュービル理論の関係について調べ、この関係を説明するため提唱された行列模型がN=2理論のサイバーグウイッテン解を正しく再現する証拠を導いた[論文4]. 伊藤は,D3-D(-1)ブレーン系における定数R-R3形式場の効果を弦理論の散乱振幅から計算した。特にN=4超対称Yang-Mills理論におけるインスタントン有効作用へのR-R3形式場の効果が、Omega背景場中のインスタントン有効作用と同等になることを見いだした。またAdS/CFT対応を用いて,強結合領域におけるN=4超対称Yang-Mills理論におけるグルーオン散乱振幅をAdS空間内の極小曲面を数値的に評価することにより計算し,Bern-Dixon-Smirnov公式からのずれを議論した。 菅原は、昨年に引き続きある種の幾何学的および非幾何学的なオービフォルド背景上のD-ブレーン模型を研究し、超対称性を破りながら摂動論的には高次補正まで宇宙項が消えている状況がいかにして実現できるかを考察した。
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