2008 Fiscal Year Annual Research Report
アトラス実験での精密測定と標準理論を超えた物理の研究
Project/Area Number |
16081210
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岩崎 博行 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 教授 (40151724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尼子 勝哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50044772)
佐々木 修 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30178636)
新井 康夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90167990)
寺田 進 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70172096)
池上 陽一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (20222862)
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Keywords | 国際研究者協力 / 多国籍 / 素粒子実験 / 標準理論 |
Research Abstract |
シリコン飛跡検出器(SCT)は、地下実験室のアトラス測定器本体の最終使用位置に組み込まれた後、平成20年2月以来宇宙線による検出器の調整を進めた。宇宙線による飛跡から検出器モジュール間の相対的位置関係を求める作業を行い、また加速器の陽子ビームの状態をモニターするためのシステム作りを現地研究者とともに進めた。データ収集システムでは、エンドキャップ部ミューオントリガー検出器のトリガーとデータ収集系を試験信号や宇宙線などを用いての最終調整を行った。こうして平成20年9月にLHCに最所に陽子ビームが周回試験の際には、ビームシャッターに陽子が衝突する現象を観測した。予定では平成20年末は重心系エネルギー10兆電子ボルト(TeV)で運転することになっていたが、加速器の励磁試験中に事故が発生し、物理実験開始は平成21年春以降に延期された。この事故後は宇宙線試験中に判明したいくつかの不具合箇所の補修作業を行った。アトラスグループ全体の問題として、SCTモジュール冷却システムの配管温度調整機構の一部でヒーターの作動に問題のあるものがあり、この修理を行っている。ミューオントリガー系ではビームデータを解析し、同期を取るためのタイミング調整をよりより厳格に進めている。物理解析関係では引き続き、より精密な測定器シミュレーションを行い、本番の実験での解析方法のパフォーマンスの評価、および標準理論から予想されるバックグランドの評価を行った。またb-quark起源のジェット(b-jet)の同定に関する研究や、標準理論を拡張した模型で予言されている、様々な重いゲージボソンZ'についての研究も進めた。
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Research Products
(19 results)