2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウム照射による対向材料の特性劣化機構解明とその計測法の開発
Project/Area Number |
16082206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 直亮 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (00127317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 和俊 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40227583)
渡辺 英雄 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (90212323)
岩切 宏友 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80325480)
坂本 瑞樹 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (30235189)
野田 信明 九州大学, 核融合科学研究所・炉工学研究センター, 教授 (10144172)
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Keywords | アルファー粒子計測法 / ヘリウム照射損傷 / プラズマ・壁相互作用 / プラズマ対向材料 / ヘリウム・欠陥相互作用 / タングステン |
Research Abstract |
光反射率に対する水素照射の影響についてはすでにかなりの報告があるが、ヘリウム照射の効果についてはこれまで殆ど注目されなかった。しかしながら我々はこれまでのPWIに関する基礎研究の成果をもとに、ヘリウムの場合には水素と比較し低照射領域から影響が顕在化することを予測し本研究を開始した。具体的には、Fe-Cr合金およびモリブデンを対象としたヘリウムイオン照射実験を実施し、内部損傷-表面損傷-光反射率の相関について研究を進めた。室温に保持したFe-Cr合金を8keVのヘリウムイオンで照射した場合、1x10^<22>He^+/m^2の照射でブリスターが発生し、金属光沢が失われ黒化が始まる。更に照射量が増えると、ブリスターはスパッタリングにより消滅し、一見凹凸の少ない表面形状となるが、黒化は更に進行する。平成16、17年度で整備した収束イオンビーム薄膜化装置を用いて透過型電子顕微鏡(TEM)用断面薄膜試料を作製し観察した結果、ヘリウムの注入領域にはナノサイズの微細なヘリウムバブルが高密度に形成され、光の反射に関与する深さ10-20nmまでの領域は、ポーラスな状態になっていることが明らかとなった。ブリスターが形成される照射域での黒化は、ブリスターによる表面の凹凸化により説明できたが、照射量の高いところでの更なる黒化は表面の凹凸化では説明できないことも判明した。黒化の原因としてポーラス化が考えられる。モリブデンを種々の条件でヘリウム照射した際の光反射率を計測した。3x10^<21>He^+/m^2の照射ですでに顕著な反射率の低下が起こることがわかった。水素イオンの場合、1x10^<24>H^+/m^2以上の照射で影響が顕在化するとされており、ヘリウムイオンの照射効果が予想通り大きいことが実証できた。ITERで使用される個々の反射鏡に対する具体的なヘリウム照射効果の評価は今後の重要な課題である。
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Research Products
(4 results)