2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16089202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本村 凌二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40147880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
池上 俊一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70159606)
松本 宣郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60011368)
樋脇 博敏 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (70251379)
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Keywords | 古代ローマ / カンパニア / 社会史 / 心性 / 表象文化 / 言語文化 / 日常生活 / 宗教 |
Research Abstract |
17年度は、まず前半において、八回の研究会を開き、研究動向の整理と当該資料の分析方法の模索に努めた。本研究プロジェクトの狙いは、なによりも古代人の目に映った生活環境の探求にあり、そこから古代人の心性を掘り起こすというところにある。そのために、古代人の生活空間のなかで自然現象と超自然現象がどのように捉えられているか、について考察することが当面の課題となった。超自然現象という理解はとりもなおさず宗教と結びつく。それは神々の世界つまり宗教なるものを生活人の目でいかにとらえるかということでもある。しかし宗教の教義や儀式の詳細に立ち入るのではなく、表象文化あるいは言語文化のなかで神々がどのように感じられているかを解明しなければならない。 このために9月にポンペイとその周辺における現地調査をおこなった。専門知識を有する大学院学生を研究協力者として調査の範囲を絞りこみ、都市公共地域、大規模邸宅、中規模邸宅における空間利用の仕方をさまざまな視点から調査した。とりわけ各種の神殿・礼拝所の位置や方位などに焦点をあて、それらのビデオカメラ収録およびデジタルカメラ撮影とともに、距離や高さなどを計測して記録した。また、神話に由来する壁画やモザイク画、さらには碑文についても、その現場でカメラにおさめ、それらの形状や色彩などを詳細に記録した。 その後、収集した資料をデータベース化するとともに、10回にわたる研究会を開き、個々の資料について詳しく検討した。これらの作業のなかで、神々の祭礼が公共施設のみならず日常生活の隅々に入りこんでおり、古代人の感性と分かちがたく結びついている様を理解することができた。今後はそれらをもっと大きな歴史的文脈のなかで比較検討していきたい。
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Research Products
(12 results)