2009 Fiscal Year Annual Research Report
カンパニア地方の都市とヴィッラ集落をめぐる社会史的研究
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16089202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本村 凌二 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40147880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
池上 俊一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70159606)
松本 宣郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 名誉教授 (60011368)
樋脇 博敏 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70251379)
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Keywords | 古代ローマ / カンパニア / 社会史 / 心性 / 表象文化 / 言語文化 / 日常生活 / 宗教 |
Research Abstract |
21年度は、まず前半において、4回の研究会を開き、これまでの映像データと資料分析を整理し、最終年度の現地調査のための作業活動について検討した。本研究プロジェクトの狙いは、なによりも古代カンパニアの自然環境に取り囲まれて住む人々の目に映った生活環境を探究しながら、古代人の心性を掘りおこすところにある。そのために、これまでの見落とされた論点にともない比較対照すべき地域を調査することが当面の課題となった。その場合、古代人の目に映る風景は、現代人の目に映る風景と形象としても心象としても同じではないことは充分に留意しなければならない。たとえば、ポンペイには多くのモザイク画が残されているが、それらを心象風景として復元するには、それらが数多く現存する地域との比較研究をすることが必要である。 このために8月にイギリス、フランス、イタリアにおける文献調査を踏まえて、モザイク画の豊富なチュニジアの古代遺跡を詳細に調査した。そこでは専門知識を有する大学院生および博士学位取得者を研究協力者に要請し、調査の範囲を拡げることに努めた。とりわけ邸宅および住宅の映像記録を収集するとともに、モザイク画などが生活空間のなかで受容される様態を調査した。そのためには、現地に残るモザイク画、彫像、レリーフ、碑文などのその場における映像記録も不可欠であり、それらの映像撮影およびビデオ収録とともに、さまざまな実測結果を詳細に記録した。その後、撮影・収録した資料をデータベース化するとともに、4回にわたる研究会を開き、個々の資料について相互連関的に検討し整理した。それらの作業を通じて、生活習俗は古代人の目に映る風景の背後に厳然と刻まれており、彼らの心象風景を感知し再現するために、儀礼慣習の有様を言語資料の上で確認することに努めた。それに不可欠な前提となる『ラテン碑文集成』CILの第4巻の牽引を全面的に加筆・修正する作業が推進された。この成果は国際的にも大きな意義をもつものである。
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Research Products
(17 results)