2004 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク上での社会的効用と個人的効用の対立問題に対するアルゴリズム的研究
Project/Area Number |
16092224
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
浅野 孝夫 中央大学, 理工学部, 教授 (90124544)
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Keywords | 近似アルゴリズム / ネットワーク / NP-困難 / ゲーム理論 / Nash均衡 |
Research Abstract |
ネットワーク上での全体からの社会的効用の最適化と利己的な各利用者の納得できる個人的効用の達成という対立問題をアルゴリズムの観点から研究し、計算困難性・近似困難性のより良い下界と上界を得ることが本研究の目的である。このような対立問題は、問題の下界を証明する際にもしばしば生じる問題で、情報科学の分野ではなじみの問題である。さらに、実際の現場で生じる全体と個との対立の観点からの問題は、NP-困難な組合せ最適化問題であり、整数計画問題として定式化できるものが多い。このような問題に対しては、近似アルゴリズムの理論が強力な道具である。以上を踏まえて、以下の研究計画に基づいて研究を実行した。 1.インターネットや道路網などで社会的効用の最適化と利己的な各利用者の納得できる個人的効用の達成という対立問題の生じる実際の具体例とこれまでの研究を調査し、分類・整理・検討した。 2.ゲーム理論や社会学、経済学で扱われている全体と個の対立問題のNash均衡に基づく理論的研究を調査し、分類・整理・検討した。 3.集合カバー問題、施設配置問題などのNP-困難な組合せ最適化問題に対して開発された近似アルゴリズムの設計と解析の技法が、本研究に有効であることが既に知られている。そこで、1,2の調査においては、高性能近似アルゴリズムの分野で最先端の研究をしている内外の研究者と情報およびアイデアを交換した。 4.1,2,3の研究調査で得られた問題および集合カバー問題、施設配置問題、インターネットの回線利用問題、通信網(道路網)の混雑による遅延対策問題などの、NP-困難な組合せ問題に対して、利己的な利用者と全体の管理者との間の対立問題を近似アルゴリズムの観点から研究し、近似アルゴリズムの設計と解析の技法の有効性を検討し分類整理した。 5.1〜4の研究に基づいて、それらの問題に対する計算困難性、近似困難性のより良い下界と上界を提案した。得られた上界(提案したアルゴリズム)に対して、その有効性を大規模な実物データで計算機実験を通して予備的に実証した。さらに、得られた成果を内外の学会・論文誌で発表すると同時に、国内外の研究者の批評を整理・分類・検討している。
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Research Products
(6 results)