2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本語・英語・中国語の対照に基づく、日本語の音声言語の教育に役立つ基礎資料の作成
Project/Area Number |
16202006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
定延 利之 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (50235305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉藤 美代子 神戸大学, 音声言語研究所, 所長 (10082455)
本多 清志 (株)国際電気通信基礎技術研究所, 人間情報科学研究所, 室長 (90395088)
CAMBELL Nick (株)国際電気通信基礎技術研究所, ネットワーク情報学研究所, 主幹研究員 (50395109)
犬飼 隆 愛知県立大学, 文学部, 教授 (20122997)
森山 卓郎 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80182278)
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Keywords | 日本語 / 音声言語 / 調音動態 / 自然会話 / 韻律 / 感情音声 / 音声情報処理 / 教育 |
Research Abstract |
「音声言語」教育の基礎資料を作成するという本研究の目的を果たすために、16年度はまず、通算8回の研究打ち合わせを通して「基礎資料の全体的デザイン」を検討した。 次に、この検討の結果を反映させる形で「調音映像資料の作成と、そのための調音研究」「会話音声資料の作成と、そのための会話音声研究」をおこなった。その結果、基礎資料作成のための材料として、調音映像資料については20回を越える実験を通して「母音」「rとl」「有声音・無声音」「口蓋化」「促音」「無声化」「早口言葉」「りきみ」「空気すすり」等の映像資料を電子的な形で得ることができた。その中心は日本語であるが、比較対照のために中国語の実験もおこない、中国語の調音映像の資料も得ることができた。会話音声資料については、基礎資料作成のための材料として、大学生をインフォーマントとする50時間の、きもちのこもった自然会話の映像と音声を電子的な形で記録できた。それらの一部(約10時間)は、ことばや仕草などの検索が可能である。これらの作業の過程で、たとえばりきみのように、これまで軽視され、「雑音」扱いされていた行動が、コミュニケーション上、大きな役割を果たすことが明らかになった。それと同時に、調音動態と会話分析の双方を収容する包括的な枠組みとして「文法」(音声文法)の必要性が改めて強く認識された。 「調音映像資料の作成と、そのための調音研究」「会話音声資料の作成と、そのための会話音声研究」を通して得られた知見は、その都度「基礎資料の全体的デザイン」の再検討に反映された。その結果、たとえば「知識」と「体験」という言語情報上の区分や、推論や文解釈といった話し手心内の認知プロセス等、一見したところでは音声とは無関係と思われるさまざまな言語-認知的な概念発想が、音声コミュニケーションの実態を説明し得る音声文法を構築する上で重要になってくるということが明らかになった。
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