2006 Fiscal Year Annual Research Report
臨床心理学の教育システム改善のための国際協働ネットワークの構築
Project/Area Number |
16203036
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀口 憲治 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 教授 (10091240)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 千穂子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70292802)
中釜 洋子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (40272489)
能智 正博 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (30292717)
倉光 修 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00135493)
角田 真紀子 専修大学, 経済学部, 講師 (50361598)
|
Keywords | 国際的協働 / 心理教育 / 事例研究法 / 予防的カウンセリング / 学校臨床 / 質的研究法 / スーパーヴィジョン / 臨床心理学 |
Research Abstract |
1.目的 臨床心理学の教育に関わる重要な課題として、社会のグローバル化に対応する多文化的視点の導入がある。多文化カウンセリングの分野では、アンシス(Ancis, 2004)が白人優位の文化とは異なる文化を背景にもつ人々や、その影響下にあるクライエントのニーズに積極的に応える理論や実践技法の開発を行なっている。欧米と比べて、日本人の場合には、個人よりも関係、とりわけ家族関係が重視される傾向があるが、同じ東アジアの中国や韓国の場合も、共通する配慮が求められている。日本に比べれば、中国や韓国での臨床心理学の発展はかなり遅れていることは事実である。しかし、両国とも急激な社会変動や家族構造の変化に伴う心理的な問題をかかえたクライエントが急増しつつあり、臨床心理学の専門家の養成や教育システムを改善することが急務となっている。 2.達成した成果本年度の研究課題として、日本・中国等の東アジアの文化・社会的な特性にマッチした臨床心理学の教育システムを改善するための国際協働ネットワークを構築する先導的な試みを行なった。上海市の華東師範大学・臨床心理学科の徐光興教授との協働ネットワークの構築は、成功裡に進行中である。具体的な成果として、同大学の研究チームは、研究代表者が開発した方法(FIT法)を用いて中国人高校生の家族イメージを調査し、中国での標準化の作業を達成した。このFIT研究プロジェクトの一員である院生は、さらに臨床心理学的研究を継続的に発展させるため、東京大学への留学計画を立案し、中国政府による博士課程院生世界派遣計画の一員に選定された。また、北京大学の臨床心理学研究室の心理カウンセラーを招聘し、東京都内で開催される家族療法の講習会に参加し、日本で開発された心理的援助の理論と技法を学ぶとともに、中国における臨床心理学の現状についても報告する日中相互交流計画を立案するまでに至った。
|
Research Products
(42 results)