2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
海津 洋行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20016140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 拓洋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20280993)
浅野 素子 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (80201888)
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Keywords | 出会い錯体の構造 / 光励起エネルギー移動 / ルテニウム(II)錯体 / クロム(III)錯体 / 水溶液 / 混合配位子錯体 / ドナーとアクセプター錯体 / 遭遇イオン対 |
Research Abstract |
溶液中における出会い錯体の構造を分子レベルで明らかにするために、Ru(II)錯体からの発光のCr(III)錯体への光励起エネルギー移動による消光反応を用いて研究を行った。一連の混合配位子錯体[Ru(phen)_n(bpy)_<3-n>]^<2+>(n=0,1,2,3)をエネルギードナーとし、[Cr(CN)_6]^<3->3、[Cr(ox)_3]^<3->、[Cr(mal)_3]^<3->をエネルギーアクセプターとして、水溶液中におけるエネルギー移動速度定数k_1を見積もった。その結果、k_1のnに対する依存性はエネルギードナーとし[Ru(phen)_n(4,4'dmbpy)_<3-n>]^<2+>を用いた時と同様の結果が得られた。すなわち、アクセプターが[Cr(CN)_6]^<3->のときはnの値に依存せず、[Cr(ox)_3]^<3->のときはnの増加に伴い段階的に減少し、[Cr(mal)_3]^<3->のときはn=0からn=1に変化させたときに急激に減少し、n=3のときの値に非常に近い値になった。アクセプターが[Cr(mal)_3]^<3->のときは、1つしかなく、しかもエネルギー移動が起こりにくいbpyの方から選択的にエネルギー移動が起こっていることを明らかにした。このことは水溶液中において出会い錯体を形成している間、[Cr(mal)_3]^<3->は[Ru(phen)_n(bpy)_<3-n>]^<2+>のbpyの近くに存在する確率が高いということが示唆される。エネルギードナー錯体として[Ru(phen)_n(4,4'dmbpy)_<3-n>]^<2+>を用いたときも[Cr(mal)_3]^<3->は4,4'dmbpyの近くに存在する確率が高いという結論が得られていることから、水溶液中におけて出会い錯体を形成するにあたって、[Cr(mal)_3]^<3->はphenを避けるように存在しようとしている傾向があることが推察される。すなわち、水溶液中において配位子phenは配位子malと「相性」が悪いという結論が得られた。
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