2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16205009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
海津 洋行 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (20016140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 拓洋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20280993)
浅野 素子 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (80201888)
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Keywords | 出会い錯体 / 光励起エネルギー移動反応 / 混合配位子錯体 / ルテニウム錯体とクロム錯体 / 水溶液と混合溶媒 / エタノールとアセトニトリル / 配位子間の相性 / ビピリジンとフェナントロリン |
Research Abstract |
溶液中における化学反応において、2種類の類似配位子(ビピリシンやそれにメチル基が結合したジメチルビピリジンやフェナントロリンなど)で構成されるトリスキレート混合配位子錯体は、これまで完全に球対称であると仮定して議論されてきた。しかしながら、それら混合配位子錯体をエネルギードナーとして出会い錯体を形成している間に光励起エネルギーが起こる系においてエネルギー移動速度を見積もると、出会い錯体を形成中に混合配位子錯体の周りにエネルギーアクセプターが平均的に存在しているとすると理解できない結果が得られた。すなわち、溶液中の反応においても、ドナーとアクセプター両錯体は、出会い錯体を形成するとき、類似配位子をもつトリスキレート錯体を用いているにも関わらず、選択的にある取り易い相対配向をとっていることを明らかにした。これは、親水性や疎水性などの性質を考慮した両錯体の配位子同士の微妙な[相性」の違いに起因していると考えられる。 同じような実験で溶媒を水、水-エタノール(20%,40%)、水-アセトニトリル(20%,40%)混合溶媒と変えて行った結果、両錯体の配位子同士の「相性」は、溶媒分子にも大きな影響を受けることが明らかになった。 以上の結果から、この出会い錯体の構造は溶媒分子を含めた配位子間の「相性」により様々な構造をとることが可能になり、この成果は、生体内で起こる様々な化学反応の解明の手がかりになることが期待される。さらに、将来、この選択性を利用することによって、化学反応を促進させたり抑制させたりすることが人為的に可能になることが期待される。
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