2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯の土壌生物が植物・植食者・捕食者群集の多様性創出とその維持に及ぼす影響
Project/Area Number |
16255002
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安田 弘法 山形大学, 農学部, 教授 (70202364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俵谷 圭太郎 山形大学, 農学部, 助教授 (70179919)
西澤 隆 山形大学, 農学部, 教授 (10208176)
村山 哲也 山形大学, 農学部, 教授 (20230013)
村山 秀樹 山形大学, 農学部, 助教授 (40230015)
豊増 知伸 山形大学, 農学部, 助教授 (60272085)
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Keywords | 生物多様性 / 植物遷移 / 菌根菌 / 植食者 / 捕食者 |
Research Abstract |
今年度は、次の3点を中心に野外調査と室内実験を実施し、以下の結果を得た。 1.原野の菌根菌の多様性の違いが植物遷移と植食者及び捕食者群集の多様性創出に及ぼす影響 カリマンタン島、ジャワ島、鶴岡の3地域の原野で、原則として1月から2ヶ月ごとに6回の野外調査を実施した。3地域の調査地での植物の多様性は、カリマンタン島や鶴岡よりジャワ島の方が高い傾向があったが、殺菌剤の散布頻度と多様性には明瞭な関係はなかった。また優占植物3種の菌根菌形成率を調べたところ、殺菌剤散布頻度が高いとコントロール区より菌根菌形成率は低くなる傾向があったが、これは植物の種類にも依存していた。植物乾物重量は、鶴岡では季節を通じ殺菌剤高頻度散布区で重い傾向があったが、カリマンタン島とジャワ島では一定の傾向は見られなかった。現在、殺菌剤処理が菌根菌形成率と節足動物の多様性に及ぼす影響の結果を解析中である。今後は、データ解析を進め、表記課題のパターンの抽出とその機構を検討する予定である。 2.圃場の菌根菌の多様性の違いが2種作物の生育及び植食者・捕食者の生存と発育に及ぼす影響 野外の圃場で大豆とトウモロコシを栽培し、殺菌剤処理区とコントロール区で作物の生育と2種の植食性昆虫の生存と発育及び昆虫群集の多様性を明らかにする調査を実施した。その結果、2種の作物ともに殺菌剤処理区で菌根菌形成率が低い傾向があった。また、殺菌剤処理区でトウモロコシの生育が促進されアブラムシの発育や繁殖は良好であったが、アワノメイガでは逆の傾向があった。一方、殺菌剤処理区のダイズでは乾物重への影響はなかったが、ダイズアブラムシの産仔数は増加した。ジャガイモヒゲナガアブラムシやハスモンヨトウではそのような傾向はなかった。今後は、現在、解析中の植物の体内成分の分析結果から、得られた処理による違いの要因を検討する。 3.ポット栽培による菌根菌の有無が2種作物の生育及び植食者の生存と発育に及ぼす影響 トウモロコシの生育には処理効果はなかったが、アブラムシでは菌根菌区で発育と繁殖は良好であり、アワノメイガでは影響がなかった。一方、ダイズではコントロール区で徒長する傾向があり、ダイズアブラムシで産仔数が増加する傾向があった。ハスモンヨトウは、菌根菌区で死亡率が高くなる傾向があった。現在、解析中の植物の体内成分の違いから処理区の違いを検討する。さらに、現在、菌根菌共生による発現量が増加する遺伝子のクローニングをダイズの葉で行っている。
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